先日まで10日間ほど、ヨーロッパを旅行してきた。旅行中に強く感じたのが、「日本の存在感の無さ」だ。
日本で日本人に、競争力のある産業は?と聞けば、自動車と電機と答える人が多いと思う。
しかし、ヨーロッパの街には日本車はほとんど走っていなかった。もちろん、皆無ではない。トヨタやホンダ、日産などは多少はある。しかし、日本におけるメルセデス・ベンツやBMWなどヨーロッパ車の存在感と、ヨーロッパにおける日本車の存在感は比べ物にならなかった。
また、テレビなどの家電製品でも日本の存在感は薄い。泊まったホテルはブラウン管のテレビも多かったが、日本の製品を見ることはなく、街でも液晶ディスプレイなどは韓国のサムスンかLG電子製が多かった。
本書は10年ほど前に書かれた本なので、このような最近の事情は考慮されていない。
本書の秀逸な点は、成功した産業の成功要因を述べているのではなく、成功産業と失敗産業と並べ、それらに対する政府の政策や規制を比べていることだ。
そこから導き出される答えは、保護よりも競争である。特定の産業を保護しようとすればするほど、市場は歪み競争力を失ってしまうのだ。
そもそも、誰も絶対に成功する方法なんて分からないのかもしれない。効率的市場仮説という理論があるが、それと同様に誰もが「成功する」と思われている方法論など実は全て織り込み済みなのかもしれない。
逆に、「なぜ失敗したのか」考えるべきなのだ。これは当たり前のようで、意外と出来ていない。サクセス・ストーリーは面白いし、自分もそうなりたいと思う。だが、失敗から目をそらさず、なぜ失敗したのか考える。辛いかもしれないが、今の日本には必要なことだと思う。