2/28/2010

【書評】アダム・スミス―『道徳感情論』と『国富論』の世界



最後の4冊目。
一番最後に読んだからか、この本が一番印象に残っている。

アダム・スミスと言えば「国富論」と「見えざる手」だ。だが、国富論の前著「道徳感情論」のエッセンスと、スミスが生きた時代の背景を知ると、より深い示唆を得ることが出来る。

道徳感情論は「人間の心」に焦点を当て、人にとっての同感や幸福、野心などに言及している。どのようなメカニズムで人々は同感したり、称賛や非難をしたりするのかなどを研究している。

このような「道徳感情論」という土台があり、「国富論」も当時のイギリスという「一国」に限らず普遍的に全ての国々に当てはまる提言をしているからこそ、現代までその名が知れ渡っているのだと著者は指摘している。