12/31/2009

【書評】ネットvs.リアルの衝突―誰がウェブ2.0を制するか



前半はWinny事件、後半はインターネットとデジタル製品に対する2006年時点までの総括と展望。Winny事件については逮捕直後のことが事細かに記述されており、金子勇氏の発言も多いためドキュメンタリーのように書かれている。

著者の佐々木俊尚氏がWinny事件について記した理由はあとがきに書かれていた。

私はかつて金子被告が2ちゃんねるで語った
P2P技術が出てきたことで著作権などの従来の概念が既に崩れはじめている時代に突入している
将来的には今とは別の著作権の概念が必要になると思います。どうせ戻れないのなら押してしまってもいいのかっなって(原文のまま)」
といった発言について、きわめて強い感銘を受けていた。彼の言っていることはまったくもって正しく、、、


つまり、インターネットが出現したことにより、「ネット」と著作権などインターネットがなかった時代の「リアル」が対立しているのだ。

また、本書の後半部分は2006年時点での話なので新鮮味は全くない。しかし、09年の終わりに読むと3年前と現在の比較が出来る。iPodについても書かれているが、ここで佐々木氏は「ポッドキャスティング」と「情報のコンテナー」という要素を強みとして挙げている。
しかし、3年後の現在iPodはiPhoneに進化を遂げ3GやWiFiによりアイチューンズを通じたポッドキャスティングだけでなく、何時でも何処でもネットワーク上からアプリケーションをダウンロードして楽しむことが可能になった。
また、クラウドコンピューティングによりUSBメモリーなどを持ち歩かなくてもネット上にデータを置いて必要なときに利用することが可能になった。

この3年間の変化は2006年時点では誰にも予想出来なかっただろう。逆に言えば、これから3年後には今では想像も出来ない製品やサービスが登場している可能性もあるということだ。

12/30/2009

【書評】世界の下半身経済が儲かる理由―セックス産業から見える世界経済のカラクリ



以前、社会人の先輩が「この世から絶対に消えてなくならない産業はエロだと思う。エロやギャンブルは本当に儲かる。他の人になんの仕事をしているのか言いづらいだけ。」と言っていた。

本書のタイトルは儲かる「理由」というよりも「実態」といった方が正しいだろう。著者の門倉氏はエコノミストなので、数字で実態を把握した本である。
儲かる「理由」は単純明快で、人間の本能的な欲望が需要になっているからだ。そのため、規制によって撲滅しようとすることは事実上不可能である。

1930年代の米国での禁酒法が示す通り、巨人軍のような永久に不滅な需要は政府が規制してもどんどんアンダーグラウンド化するだけである。そこで門倉氏は「売春産業は合法化したほうが望ましい結果になる」と指摘している。
合法化することによって、従業員の健康保険・職場の安全確保の義務化や税金の支払い義務が生じるためだ。非合法所得への課税は大幅な税収増加につながるだろう。(門倉氏はソープランドの非合法所得を2005年時点で7364億円と推測しているため、10%課税するだけでも736.4憶円の税収増加になる。)

ただ、合法化するにしても総論賛成・各論反対になることは目に見えている。また先進国と発展途上国では、このような産業が国の経済に対して持つ意味(発展途上国で重要な外貨獲得手段になっている場合も多い)や、働く人々の同期も大きく異なるため各国がそれぞれの事情に合わせて規制の程度を決めなければならず、非常に難しい。
しかし、絶対になくならない需要に対しては規制強化=アングラ化は歴史が示す通りだ。

大切なことは「規制強化」という逃げ道に逃げず、議論を続けていくことなのだ。

12/29/2009

【書評】何のために働くのか



著者の北尾吉孝氏と言えば、古典・慶應経済から野村證券・フジテレビのホワイトナイト・SBIのCEOという印象だ。
「何のために働くのか」のタイトル通り、若い人向けの啓蒙本であり、“国家の品格”のような仁道を説く。間違ったことを書いているとは思わないが、穿った読み方をすれば「金融・インターネットなど、実態が分かりづらい事業を行っているため、経営者の考え方は清廉潔白であることを世に示したい」という目的もあったのではないだろうか。
北尾氏の古典好きは本物だろうし、ウラで汚い事業をやっていると思っている訳ではないが、精神論を100%受け入れるというのは自分には正直難しい。

そして、重箱の隅を楊枝でほじくるようなことかも知れないが、
以前NHKの番組でロシアの実業家が北尾氏を訪ねて投資を依頼したシーンがあった。そのとき、北尾氏は「儲かる話なら乗るよ」と。。。

また、北尾吉孝をGoogleで検索すると2つ目の記事に「SBIの北尾吉孝氏が激しく事実誤認していることについて。」という堀江貴文氏のブログが出てくる。。。

経営者の書いた本、という事でかなり割り引いて読む必要があったかもしれないし、20代前半の学生がこのような読み方をするべきじゃないのかもしれないが。

12/28/2009

【書評】新聞社―破綻したビジネスモデル



就職活動をしていた2月頃に日経新聞の編集委員の方に
「米国ではトリビューンが破綻し、クリスチャン・サイエンス・モニターが紙媒体の発行を止めるという状況になっていますが、日経新聞としては今後どのような戦略を打ち出しますか?」
と聞いたことがある。
(この質問をしたいがために、日本経済新聞社の説明会を聞きにいった。こういうことが出来たことため、就職活動は本当に有意義だったと思う。)

質問に対する答えは
「記事の質を高めていくとともに、やれることは全部やろうと思っている。」
とのこと。当然、日本と欧米では新聞社の顧客層や収益構造も違うが、この答えからは強い決意とともに新たなビジネスモデルの見つからない焦燥感も感じた。


本書では、毎日新聞社の元常務取締役である河内孝氏が「内側」から見た新聞社のビジネスモデルの限界を説く。
そして部数至上主義・テレビも含めたマスメディアの横並び主義など、もはや自分で自分の首を締めているとも思える事例を示すなかで、河内氏は本が執筆された2007年2月に、

「事件や役所の発表は通信社に任せればいい。その要員とコストを独自の取材にあてたら」というのが私の主張でした。

と記している。その主張は河内氏が在籍する間には通らなかったが2年半後になって、毎日新聞社と共同通信社、共同通信社加盟社による包括提携についてとなった。

メディアにとって、これからどのようなビジネスモデルが成功するのかは全くと言っていいほど分からない。いつも考えているのだが、本当に分からない。将来何が成功するか自分が分かるくらいなら、もはやそれは誰かがやっている過去のものだと思えるくらいだ。
ただ、旧来のメディアの形が今後も残るだけは到底思えない。それは単に自分が必要としなくなってきているだけなのか、メディア自身の自爆なのか、その両方なのか。。。

12/27/2009

【書評】好き嫌いで人事



日本の労働市場の問題点に「硬直化」を挙げる経済学者や評論家が多いが、経営者として著者の松井道夫氏は「人を組織に縛り付ける人事制度で顧客本位の仕事が出来るのか。無理である。」と断言する。
20世紀は組織や供給者論理でもまかり通ったが、21世紀は個人・消費者論理でビジネスをしなければならない。これが本書の中で貫かれている主張だ。

給料をもらって働くのではなく、働いて給料をもらう。

5年計画なんて言うのは、世の中を甘くみている共産主義者の戯言。

結局のところ、人間が真剣に取り組むべき仕事はアーティスト的な「人間心理学の仕事」。

わかるものを捨ててわかならいものを得ようとすることが決断の本質

これだけ書くと、経営者の著書にありがちな美辞麗句を並べたようにも見えるが、そのような綺麗事はいっさい言わない。ある意味、ウラオモテのない性格なのだと思う。

12/25/2009

【経済】就活と情報

あふれるネット情報に翻弄されて――彼らが就職できない理由---Busines Media 誠

「みん就を見たか?」
就職活動を終えた内定者の友達たちとの間で、こういう話題になることがよくある。

「みん就」とは、みんなの就職活動日記というウェブサイト。就職活動をする人たちが、企業別の掲示板に様々な情報を載せているサイトである。内定者のエントリーシートなども見ることが出来る。

こう書くと、みん就を活用しない手はないかのように見える。しかし、そこに載っている情報の真偽は分からない。そもそも、本当の情報だとしても見ている人に有益かどうかはその人次第だ。
「面接の連絡きました!OO日です!」などの情報が書き込まれていたら、その企業を志望していて選考が進んでいない学生はただ焦るだけだろう。
自分の話をすると、みん就は登録はしたが基本的には見ていなかった。誰でもアクセスできる匿名の情報は、信頼できる情報かどうかを判断する手間がかかりすぎるからだ。
その代わり、大学の先輩方の就職活動体験記を参考にした。この情報は大学の学生しかアクセス出来ず、書いているのも同じ大学の学生(個人名は書いていない)なので信頼できると思ったからだ。実際、役に立ったと思う。


結局、本質的な問題は就活をする学生が情報を活用しているのか・情報に踊らされているのか、ということだと思う。

リクルートが運営する就職サイト「リクナビ」の編集長、毛利威之(たけし)さん(36)は「ネット上の掲示板などの情報は、参考程度にとどめるべきだ」と指摘する。

上記のリンク先ではこう記されているが、「参考程度にとどめる」ことよりも、「参考程度にとどめる」かどうかを判断出来る情報に対する主体性が必要だと思う。つまり、自分から情報を取捨選択していけばいいのだ。
もちろん、主人公である学生にはそのメンタリティを持つことが一番難しいのだが。

12/24/2009

【書評】テレビはインターネットがなぜ嫌いなのか



テレビと新聞、この日本人の生活に深く深く根ざしたメディア産業の実態はそれ自体がメディアであるため、なかなか明るみには出て来なかった。いま「新聞社ー破綻したビジネスモデル」も同時に読んでいるが、テレビ・新聞を見ているだけでは絶対に分からなかったことを次々に知ることが出来ている。

本書を読むと、いかにテレビ産業が今まで上手い仕組みで回っていたかが分かる。「美智子さまご成婚」を契機にする国民的行事ともにテレビ受像機が各家庭に普及し、その影響力を背景に高い広告料を得て、高い制作費で「ウケる」番組を作る。そしてその裏で、コンテンツ(≒著作権)・電波は決して手放さない。

ただ、現時点では「ウェブはバカと暇人のもの」の著者・中川淳一郎氏も著書の中で述べているように、テレビは最強メディアであることに間違いないと思う。自分は5人家族(両親と姉弟)だが、家にいるときにインターネットばかりやっているのは自分だけだ。団塊世代の父親はNHKやドキュメンタリー、50代の母親はワイドショーやドラマ、20代の姉弟もバラエティやスポーツ番組を好んで視聴している。

以前、「そもそもなぜ人々はテレビを視聴し、新聞を購読していたのか」という疑問に対し「社会との接続のため」という回答があった。
「社会との接続」という意味では、90年代後半から携帯電話・インターネットというツールが急速に普及したため、消費者のなかでテレビ・新聞の価値が相対的に低下するのは自然な流れだ。

これからテレビ産業はどうなるのか。それは当然、テレビ自身の戦略次第だ。ただ闇雲に既得権を守ろうとすれば、その既得権自体の価値が薄れていくことになるだろう。

12/23/2009

【書評】間違いだらけの経済政策



エネルギーや穀物などの商品価格の傾向的上昇と、ハイテク製品の価格の継続的下落。この価格革命とも呼べる世界経済のパラダイムシフトに対応した経済政策を打たなければならないーーーこれが、「ミスター円」こと著者・榊原英資氏の本書の中での基本スタンスである。

タイトルが「間違いだらけの」となっているのは、従来のマクロ経済分析では構造変化による物価安定下(デフレ化)での景気拡大は説明出来ないため、インフレ・ターゲティング論が展開されてしまい、結果的に円安バブルを生み出してしまったことから来ている。

そして、資源の稀少化とハイテク製品のコモディティー化という構造変化に対応するために「円高」と「エネルギー・農業産業の振興」が必要だとする。

最近の「円高」というニュースに必ず付随するのが、「輸入物価下落によるデフレ進行」や「輸出企業の収益減少」などの懸念だ。(海外旅行が安くなるとか、輸入品の価格が下がるということも言われたりするが。)
本書の中でも榊原氏は景気が急速に冷え込んでいく中での急速な円高はマイナスになると指摘しているが、このような短期的な影響を考えるとともに長期的な影響も考えなくてはならないだろう。

※榊原氏は「国際協力銀行の解体・合併は失政以外の何ものでもない」と記しているが、この政策は事実上骨抜きになっている。国際協力銀行は日本政策金融公庫の国際業務という形式だが、日本政策金融公庫への統合は名前だけで実質的には独立して業務を行っていて、人材の採用・交流もない。

12/22/2009

【書評】ウェブを変える10の破壊的トレンド



本書が出版されたのは、07年12月なのでちょうど2年前の話になる。2年前というのはウェブの世界では遠い遠い昔の話とまではいかなくとも、すでに一昔前のトレンドの話と言える。だが、米国での先進的なウェブサービスを紹介しているので、そういった意味では新鮮な内容である。

この本を読んでいると、次から次へと斬新なウェブサービスが雨後のタケノコのように出てくる米国という環境が羨ましく思える(エンジニアとしてではなく、コンシューマーとして)。
翻って、日本から破壊的トレンドを牽引するようなサービスが生まれない理由は何なのか。

著者の渡辺弘美氏は
エンジニアが最大限創造性を発揮出来る環境が少ない
ことを挙げていた。


また、ジャーナリストの佐々木俊尚氏は以下のように述べている。
■アメリカは投資の規模が大きい
■人材の不足
■スタートアップベンチャーが活躍出来る場が少ない
日本ITの国際競争力---佐々木俊尚 より一部引用

また、楽天の三木谷社長はTwitterで以下のように言っていた。
少なくとも国家戦略担当の副総理が日本人はネットに対して否定的だというのは無茶苦茶不味い。ネットがわかる人を国のトップにしましょう。とても迷いましたが、敢えて書かさせてもらいました。
三木谷浩史 on Twitter
より引用


これだけ読んでも様々な要因がありそうなのが分かるが、自分はIT・インターネットの発展によって、既得権益を侵されている人・企業の抵抗が大きい、という理由を挙げてみたい。

先日はJTBが国内200店舗を閉鎖しネットを充実させるというニュースがあった。インターネットは日本人の生活に深く浸透してきたため、旅行業界にも変化を迫っているのだ。
新聞・テレビ・雑誌は関心を奪われ、インターネット専業の銀行・証券会社・保険会社が誕生し、年賀状はメールに代わっていき、百貨店はネット通販に押されるなど、様々な業界で「ネットによる既得権益への食い込み」が起きている。
他の国の状況はよく知らないが、日本は既得権の存在が非常に厄介だ。労働市場が流動的でないということも遠因になると思うが、「IT・ネットによって仕事が奪われている」ということが結構多いのではないか。もちろん、ネットを無くすことは事実上不可能なのでそんなこと言ってもしょうがないのだが。

自分は全くないので妄想だが、IT・ネットに対するネガティヴなイメージがあるとすれば、それも日本の競争力の向上を阻害しているのかもしれない。

12/21/2009

【日常】一発勝負と自分の財布

土曜・日曜とナゴヤドームでのMr.Childrenのライブに行ってきた。

内容はもちろん素晴らしいものだったが、ふと思い出したのが以前フットサルのイベントを行ったときのイベント会社の方の言葉。

テレビ番組を作っている人たちは、生放送以外すべて何回でも撮り直したり、カットしたり出来る。でも、イベントは常に本番は一発勝負で、カットすることも出来ない。そこがテレビと違うイベント作りの面白さかな。

また、就職活動で面接していただいたマイク○ソフトのリテール(個人向け)営業部長の方の言葉も同時に思い出した。

大企業向け、例えば三井物産さんがうちの500憶円のシステムを導入してくれてても、
500憶円はそのシステム担当者が自分で出している訳ではなく、会社のお金から払われている。でも、もしその人が自宅で使うために、ビックカメラなどでソフトウェアを買ってくれたとしたら、それはその人が働いて稼いだお金を自分の財布から出してくれているということ。そこにリテール営業の面白さがある。

この二つの言葉には、なるほどと思うだけでなく仕事に対するその方々の思いを感じ取れる。

一般的に、イベントよりもテレビの方が「大きな仕事」であり、視聴者も含めると相当な数の人が関わっている。当然、テレビCMの広告費は非常に高くなり、制作費もそれに応じて高くなる。おそらく、イベント会社よりもテレビ局の方が、いわゆる就職人気ランキングも高いだろう。

また、(まだ学生なのでよく分からないが)個人向けのリテール営業よりも、大企業向けのエンタープライズ営業の方が、企業の中ではいわゆる花形に当たると思う。周りの学生を見ても、リテール営業より法人営業のほうがいいという人は多い。

週末のイベントには、「イベントの一発勝負」と「自分の財布からお金を出していく」という二つの側面があった。
一見すると派手なこと、規模が大きいことに流されず、自分の思いを持つことの大事さを思い出させてくれる、お二人の言葉だ。

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中村昭典氏のブログで、記事を引用していただいた。中村さん、ありがとうございます。
中村さんは元とらばーゆの編集長。自分の親しい先輩も以前リクルートでとらばーゆの編集をしていて(今は転職している)、自分も何回かアルバイトでリクルートの銀座8丁目ビルに出入りさせてもらっていたので、勝手に少し親近感が湧いている。

12/17/2009

【書評】ジャーナリズム崩壊



「事なかれ主義」「横並び意識」と、日本の新聞やテレビは様々な産業を批判してきた。しかし、本当は自らが一番「事なかれ主義」「横並び意識」の護送船団方式なのだ。

その象徴が著者が批判する「記者クラブの閉鎖性」である。全国紙の記事が似通っているのは、同じ場所で同じ情報に接していて同じ記事を出すことが日本の記者の仕事なってしまっているのだ。
しかし、記者クラブの存在が悪い訳でも、日本の記者が実力不足な訳でもない。記者クラブが閉鎖的なことによって既得権益化している仕組みが問題なのだ。そのため、フリーランスや雑誌記者・海外メディアは記者クラブの記者と同じスタートラインに立つことすら出来ていないのが現状なのだ。
そして、もちろん「記者クラブ」の話題は新聞・テレビには登場しない。自分で自分の首を締めることになるからだ。

また、「誤報を検証しない」という無謬主義はもはや日本人の国民性とも言えるかもしれないが、「ミスは犯すもの。犯してはならないのは、ミスを隠すこと」という小さい頃に教わったことを日本のメディアはもう一度自覚しなくてはならないと思う。

【書評】私はこうして受付からCEOになった



原著のタイトルは「Tough Choices」、直訳すれば「困難な選択」となる。「私はこうして受付からCEOになった」という日本語版タイトルは、日本HPの社長になった樋口泰行氏の「「愚直」論 私はこうして社長になった」から来ているのだろう。



と思っていたら、Amazonの「よく一緒に購入される商品」に並んでいた。

内容は最初から最後まで回顧録。様々な「Choice」が巡ってくる中で、悩みながらも「Tough Choice」を選び全力で立ち向かっていく。しかし、女性が目立つポジションに立つことは米国でも、あることないことがメディアを通じて発信されてしまうことでもある。

本書の中に散りばめられているカーリー・フィオリーナ氏の経営哲学は、机上ではなく実体験から述べられているので非常に説得力がある。
一番印象に残ったのは「原因なくして数字なし」という話だ。当たり前のように聞こえるが、この論理はとても大切だ。突然数字だけが良くなったり悪くなったりすることはありえず、必ず仕事が実際に動いている現場に何かの原因があるのだ。

そして、カーリー・フィオリーナ氏の「ビジネスと女性」に関する考え方は明快だ。本来、ビジネスはスポーツのように男女別の種目などない。「ビジネス界でもっとも影響力のある女性50人」という企画は、まるで女は男と伍してはいけない印象を与えかねず、あまり良くないと述べている。言ってみれば当たり前だが、おそらくこの本を読まなければ「ビジネスウーマン50人」企画は違和感なくそのまま読んでいただろう。
「自分をビジネスウーマンだと思ったことはない。私はビジネスパーソンでたまたま女だっただけ」という台詞が印象に残った。

12/16/2009

【経済】出版業界は「不況」なのか


本の販売2兆円割れ 170誌休刊・書籍少ないヒット作---asahi.com

出版科学研究所によると、書籍と雑誌の推定販売金額が09年は2兆円を割り込むことが確実になった。1.93兆円になると予測されている。ピークの96年は2.65兆円だったのだから3割落ち込んだことになる。こうなると当然、休刊も数多く出てきている。

こうなった要因は様々であり複合的だと思うが、色々考えていみるとこの状況を「不況」と呼ぶのに違和感を覚えてくる。これから「好況」が来るとどうしても思えないのだ。

まず、考えられる要因を羅列してみる。

①インターネットの普及
 ①’PC・携帯電話の普及
②消費者の購買力の低下
③雑誌の広告の宣伝効果の低下
④人口の減少

一番大きいのは①と①’だろう。情報へアクセスする手段が90年代後半から劇的に変化した。ピークが96年ということは、Windows95が出た頃からずっと販売金額が落ち込み続けていることになる。それ以降、様々なWebサービスが出る中でブロードバンドのインフラが整い、携帯電話が普及してきた。インターネット・PC・携帯電話がない世界に戻ることは絶対にないだろう。

そして、②の賃金の低下が2兆円割れを招いた。経済的な理由から雑誌・新聞の購読を止めた・減らしたという人は少なからずいるだろう。しかし、賃金が上昇に転じたとしたらこのような人々は再び雑誌・新聞を購読するようになるのだろうか。購読を止めていた期間に「情報へアクセスする代替手段」を見つけたとすれば、紙媒体の雑誌・新聞を買う必要は薄れる。

③の理由は今日の帰り道に思いついたのだが、「携帯電話・携帯ゲーム機の普及で電車の中吊り広告の宣伝効果が低下しているのでは」という仮説から来ている。今に始まったことではないが、電車に乗るとき車内で携帯電話を扱っている人を見ないことはない。当然、そのような人の視線は自分の携帯電話に向けられていて、中吊りには向かない。よって、雑誌の中吊り広告が消費者に認知されず、その結果雑誌も売れなくなっているのではないか。

④はこれからジワジワとボディーブローのように効いてくるだろう。(人口が減り始めたのは2006年なので)

つまり、現在は「不況」という景気循環ではなく「長い下り坂」の途中というのが自分の考えだ。もちろん、何らかのイノベーションによって需要が喚起され、「上り坂」に転じる可能性もあるが。


ちなみにこのエントリーを書こうと思ったのは、ここ最近の自分は電車の中で必ず本を読んでいるからだ。乗ってから5分で降りるときも、数ページを必ず読む。今日の帰りも電車の中で本を読んだ後の帰り道、中吊りを見なくなったと思った。そして「中吊り見なくなったな」→「中吊りって雑誌が多かった印象がある」→「そういえば、書籍・雑誌が売れていないことが最近のニュースの中にあったな」→「売れていない一因は人々が中吊りを見なくなったから」と言った具合に考えて、思ったことを記してみた。

12/15/2009

【書評】インドの衝撃



良くも悪くもNHKの取材本である。統計データなどのグラフはないため、全体像は掴みにくい。そもそもインドのような国では人口さえも正確なデータがなく、11億人という公式の数字も「あと1~2億人いる」とさえ言われるくらいなのだが。

良いと思ったのは、ドキュメンタリー番組を本にしてある「人々のリアルな暮らし」が分かること。また、取材班の日記の要素も強く人々を取り巻く環境や、日本人が持ちやすい先入観も併記されている。

逆に悪いのが、一部の人々の話に偏っていて全体像が見えないことだ。やはり、定量的な統計データがないと説得力に限界が出てくる。

また、これは本の内容の巧拙の問題ではないがこの本が出版されたのは2年以上前で、内容は2006年までが中心だ。この本を読んだだけでも、その時点から現在までにも様々なトピックがあることは間違いない(タタ自動車のナノの話、など)。続編も出ているようなので、読んでみようと思うが、続編だけでなく様々な書籍も読もうと思う。


この本は約320ページあるが、2日で読み終わった。他の本も読みながらなので、読書のスピードが上がってきたことを実感している。

12/14/2009

【経済】続・Amazonマーケットプレイス

Amazonのマーケットプレイスを眺めていると、色々面白い傾向が分かってくる。中古本の価格が色々な事を表しているのだ。

Amazonのサイトには様々なレビューが載っている。自分はレビューを書いたことはないが、本の購入を検討する際には結構参考にする。しかし、以前のエントリーでも書いたように、書籍はコンテンツであるため評価は人それぞれだ。極端な話、音楽でも洋楽が好きな人から演歌が好きな人まで存在するように、コンテンツには人によって好き嫌いがある。その好き嫌い(本の場合は論理的でないことが指弾されることも多いが)を星の数で評価することには些か無理がある、というか限界がある。

Amazonのレビューはアカウントを持っている人しか書けず(と言ってもAmazonのアカウントを持つ人は日本に相当数いると思うが)、レビューの名前をクリックすれば、その人が他にどんな書籍などにレビューをしているかが分かる。さらに、「○○人中××人が参考になった」とか「レビュアーランキング」などもあるため、「この人、良いレビュー書いてるな」と思ったら、その人が他にどんな本を読んでいるのか確かめることが可能だ。しかし、これは結構根気のいる作業で、セレンディピティもあるとは思うが、好き嫌いの要素もあるレビューを積極的に参考にしようとはあまり思わない。

前置きが長くなったが、そこで「中古の価格」を見るのだ。レビューは文章なので読解しなければならないが、価格は数字なので一瞬で分かる。
そして、過去に売れた本ほど中古では安い。一つ前のエントリーでウェブ進化論を例に挙げたが、数年前に大量に売れた本は、今は供給過剰で値段がグッと下がっている。これがお金のない自分のような学生にはかなり嬉しく、「結構売れた本だから、安いし買ってみるか」と思ってしまう。
ただ売れた本が全部安いという訳でもなく、クレイトン・クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」はあまり安くなっていなくて(新品2100円で、中古は1660円から)残念だった。どれだけ売れたは知らないが、かなりの良書と聞くこの本はあまり中古が流通していないと思われる。

・・・余談だがGoogle日本語入力で「イノベーション」まで売ったら「イノベーションのジレンマ」が候補で出てきた。レビュー数も多いことから、かなり売れたのだと推測出来る。

12/13/2009

【経済】Amazonマーケットプレイス

先日、初めてAmazonマーケット・プレイスで買い物をしてみた。マーケット・プレイスでは、様々な本屋がAmazonをインフラとして、中古本や新品の本を売っている。本の価格は本屋が決めるが、配送・手数料は一律で340円(1冊ごと)、決済など手続きはAmazonのサイト上でクリックだけで完結する。

0円で売ることは出来ないらしく、中古本の価格は1円~新品での価格(当然、新品価格の中古本は売れないから、多少安くなる)まであるのだが、驚くのは1円で出品している本屋が非常に多いことだ。例えばベストセラーになった梅田望夫氏の「ウェブ進化論」では、169点中、42点が1円だ(2009年12月13日現在)。→ウェブ進化論のマーケット・プレイス

もちろん、配送料が340円かかるため実際にかかるのは341円になる。ウェブ進化論(新品798円)では、実質57%引きで購入可能ということだ。単行本などではさらに安くなるケースもある。


長々と説明を書いたが、「後から読みたくなったとか、読みたかったけど読んでなかった本」が安く売っていたら、今後も利用しようと思う。理由は色々ある。
まず、この類の本は本屋に置いていないことも多く、通学途中の本屋になければネットで買うしか無い。
第2に、学生なのでお金がない。(実はこれが一番大きいだけかもしれない)
また、通販で買うと「中古」感が少ない。これは個人の感覚の問題だが、耳折りなどがないものが通販で送られてくると不思議と「中古」本を買ったという気にならない。

高校生の頃、古着を買うと親に「他人が着たものなんて」と言われ嫌がられたが、受験勉強の参考書から今買っている本までずっと「本は新品」を貫いてきた。
あるかどうか分からない中古の本屋に本を探しにいくのが億劫だったことと、「中古」感が多少嫌だったからだが、「通販で買う」ことにはあまり抵抗がなかった。
いまの自分が学生でお金がないことが一番の理由だと思うが、「この値段なら買ってもいいか」と思える本は今後も中古で買っていくと思う。

12/12/2009

【書評】貧困ビジネス



相変わらず、門倉氏の情報収集能力には舌を巻くばかりだ。闇金融・性風俗などのアンダーグラウンド経済を、日本だけでなく海外までどうやって調べているのかを本にして欲しいくらいである。

著書「ワーキングプア いくら働いても報われない時代が来る」でもそうだが、著者はエコノミストなので事実に基づいて冷静に書いている。「こんなにかわいそうな人がいます」とか「どれもこれも政府や大企業の責任です」みたいな感情に訴えるようなことはない。

ただ、逆にエコノミストのレポートの域を超えないので、政策提言などに及ぶと弱い面もある。湯浅誠氏もそうだが、民間企業の中で利益やコストを考えながら働いた経験がない(門倉氏はずっと民間シンクタンクのエコノミスト)と、どうしても勧善懲悪な議論になってしまう気がする。

規制緩和と強化の境目が難しいことは、貸金業法の改正などを見ていれば分かるが、この問題はおそらく「どこまで規制するか」の綱引きでは解決しない。先日のニコニコ生放送で堀江貴文氏も指摘していたが「お金の使い方・借り方」に関する教育が不足していることが、問題の大きな原因になっているのではないだろうか。

【書評】会社のデスノート トヨタ、JAL、ヨーカ堂が、なぜ?



細かな財務諸表分析などは行わず、戦略に照らし合わせて「企業が失敗する法則」をデスノートのルールとして記している。

本書を書店で見て「読みたい」と思ったのは、「日本が繁栄するためには、サービス業が発展するほかない」という一文があったからだ。著者はさらに労働集約型の「軽サービス業」から、生産性の高い資本投下型の「重サービス業」へ脱皮しなければならないと説く。

軽サービス業から重サービス業への脱皮こそが「サービス・イノベーション」だ。サービスとイノベーションは一見、互いに交わらない概念だが、今の日本のサービス業にはイノベーションによる劇的なコストの減少が求められているのだ。

12/11/2009

【書評】東京が駄目なら上海があるさ



この本は少し前に父親から貰った本。最近は経済学や実証研究などの本ばかりを読んでいたので、こういったよく言えばシンプルで悪く言えばアバウトな考えの本は新鮮で面白かった。
すべての内容が邱永漢氏の感性で半ば殴り書きされているので、統計データなどは全く出てこないが、だからと言ってトンチンカンなことを述べている訳ではなく、しっかり的を得ている。

内容は邱永漢氏の「金・場所・仕事」論。タイトルからすると東京・上海の2都市を比較しているように考えるが、このタイトルはあくまでも「例え」で「お金儲けのためには場所を変えろ、ついでに仕事も変えろ」ということだ。

「仕事」論の中で「価格決定権のない商売はやるな」という話がある。言われてみれば当たり前のように聞こえるが、自分の商売を考える(≒就活で企業を選ぶ)ときに「価格決定権」を考慮しない人は結構多いと思う。
この本をくれた父親も外資系の企業を自分に勧めなかったのは、外国企業の日本支社には価格も含めた「決定権」がないからだろう。

12/10/2009

【書評】プラネット・グーグル



Google本は結構読んできたが、本書はGoolgle誕生から08年夏までの軌跡をGoogle内部から見て記したものであり、外から見て書いているものではない。

そしてGoogleに肩入れせず、客観的に書いてあるところが秀逸だ。賛美するわけでもなく、批判もしない。著作権やプライバシーに関する問題も、例えば「エリック・シュミットは~~と考え、スティーブ・バルマーは~~と言った」などのように第三者として書かれている。

また、米国人が書いている本なので、当然だが舞台は米国だ。日本の企業も日本人も全く登場しない。ブックサーチの話で慶応大学が登場するくらいしか日本人に身近なことはないので、読むのに時間がかかってしまった。

本書で一番印象的だったのが、「未熟な技術で我々のプライバシーが守られている」という話だ。
ストリートビューは日本でもかなり物議を醸したが、私たちが今まで公共の道路を見ても見られていないと感じていたのは撮影するカメラがなくそれを見る技術がなかっただけのことなのだ。
この話は、今後も様々な技術が世の中に出てくることによって、技術がなかっただけの問題が物議を醸すことを示唆しているのだ。

【経営】若手お笑い芸人というベンチャービジネス

個人的に、お笑いは人並みに好きだ。もちろん、純粋に楽しむためにTVなどで見ているのだが、「お笑い芸人」が成功するために必要なことを少し真面目に考えてみると、ビジネスにも結構役に立つのではないのかと思えてくる。

タイトルにも書いた通り、「若手お笑い芸人」はベンチャービジネスに例えられる。何千組(何万組?)という若手の芸人の中で、テレビに出演出来るのは一握りどころか一摘みだ。ベンチャー企業も、上場出来る企業は本当に僅かだ。また、テレビに出演することを目標としない芸人がいるのと同様に、上場を目指している訳ではない企業がいることも似ている。

そして、成功するためには「自分独自の色を出すこと」と「時代の流れをつかむこと」が必要だ。ココもベンチャー企業と非常に似ている。
その中で自分は最近、後者の「時代の流れをつかむこと」を考えるようになってきた。
今、プラネット・グーグルという本を読んでいるのだが、Google社の急成長は技術力とともに「(偶然も含めて)時代の流れをつかんでいたこと」が大きかったことがこの本からは分かる。(結果論であり反証は不可能だが、)Google社の誕生が1年早くても1年遅くても、今のGoogleにはなっていないのだ。

いまテレビに出ている若手お笑い芸人も、「いまの時代をつかんでいる」から売れていると言える。そして、凡百の一発屋たちは「売れた時代しかつかめていなかった」から一発屋になったとも言える。

芸人たちの栄枯盛衰から学べるものは多いのだ。と、書いていたら以下の本を思い出した。



また、改めて読んでみようと思う。

12/09/2009

【IT】サイバーエージェントの新サービス

芸能人も参加の「Amebaなう」携帯版が開始---Amebaニュース

AmebaなうとTwitterの関係---六本木で働いていた元社長のアメブロ



昨日ニュースを見たときにtwitterでつぶやいたときに少し思ったことを、堀江氏がさらに広げて書いていた。自分はAmebaのアカウントは持っていないのでサービスは利用していないのだが、明らかにtwitterを恐れてのサービスである。利用者がどう使うかはこれからのプロモーション次第だろうが、自ら「twitterパクってます」と宣言するようなサービスをリリースするのはどうなんだろうか。

まだ「つぶやき=twitter」が3~4年前の「SNS=mixi」のように定着する前にサービスをリリースして、結果として勝てればいいという戦術は正しいのかもしれないが。iPodだって、世界最初のMP3プレーヤーというわけではなかったし。

ただ、堀江氏も指摘するようにtwitterはサードパーティが開発するアプリケーションが普及を後押しする大きな要因だと自分も思っている。実際、このBLOGもサードパーティのアプリを使って投稿すれば自動的にtwitterに送られているようになっている。また、自分にとってはiPhoneで見れることも非常に大きい。
そのような「使いやすさ」をAmeba内で実現できるのか。それともアメブロのように芸能人を全面に押し出し続けるのか。

色々書いてAmebaには他にどんなサービスがあるのか気になってきたので、会員登録をしてみようと思うが「つぶやき」は引き続き使いやすいtwitterにしていくことにしよう。

【IT】feedtweetを導入

feedteetを導入してみたので、テスト更新。

12/08/2009

【Mobile】iPhoneから更新




Blog編集アプリを入れてみたので、iPhoneから更新テスト。

- Posted from my iPhone

【IT】相互入れ替えするWebサービス

今日は色々使っているサイトを連携させた。twitter・GoogleReader・blogger・Flickr・MediaMarkerをそれぞれ相互入れ替えした。ちなみにMediaMarkerはAmazonと連携出来ている。

twitterを本格的に使い始めたのはここ数日なのだが、「つぶやき」という柱のサービス以外にも、上記のような様々なWebサービスと連携出来ることも大きな特徴だと思う。
そして、このことがmixiボイスとは大きく違う点だ。mixiボイスは使ったことがないが、他のサイトとシームレスには連携出来ていない(はずだ)。

そもそも、mixiというのは結構閉鎖的なサービスだと思えてきた。openIDやレビューでのAmazonとの連携などはあるが、ほとんどはmixi内で完結するサービスであり、mixiにログインして使うものだ。

一方twitterはGoogleReader・Flickr・Amazonなどからワンクリックで繋がっている。さらにbloggerやMediamarkerの更新情報も自動的に拾われる。もっと言うと、これらのサービスはほとんどiPhoneのアプリケーションになっていて、PCを開いている時だけでなくとも手軽に使える(mixiもケータイで結構使えるが)。

自分の周りでもmixiを使っている人は多いし、サービスもかなり充実していると思う。だが、自分は魅力を感じなくなってしまった。それは他のサービスとの連携がなく、自分がiPhoneを使っているからだと思う。
ただ、日本ではしばらくはmixiの優位は揺るがないと感じる。それはmixiが多くの日本人に浸透したからなのか、日本のケータイの特異性からか・・・その両方か。

12/07/2009

【IT】テレビも映画も網膜も、ただの「画面」になる

テレビも映画も網膜も、ただの「画面」になる---ASCII,jp

グーグルは「Google Chrome OS」をプレビューした。Chrome OSというのは、前回(世界の「5台」のコンピュータの中身)で触れたWebブラウザーの「Google Chrome」やクラウドに関する議論とも、大いに関係がある。

Bloggerをtwitterと連携させてみたお次は、GoogleReaderとtwitter・GoogleReaderとBloggerを連携させてみた。この記事の投稿はそのテスト。

【IT】twitterfeed

twitterfeedを導入してみたので、テスト更新

【経営】飲食店経営の「仕事」と「作業」

ビジネスマンのための本によく「他の人と関わってやるのが仕事で、自分ひとりでやるのは作業」と書いてあるのを目にする。初めて聞いたときはなかなか上手い言い方だなと思ったが、何が仕事で何が作業なのかを分けることは様々な場面で有用だ。

例えば飲食店。飲食店にはホール(お客さんが食事をするところ)とキッチン(料理を作るところ)がある。ここではホールでするのが仕事で、キッチンでするのが作業と言える。これは場所というより「お客さんが関わること」が仕事であり、キッチンで行われることはその仕事のための作業なのだ。「仕事はホールにある」とも言い換えられる。
美辞麗句にも聞こえるが、飲食店で働く人(アルバイトの自分も含めて)には戒めの言葉だと思う。飲食店で働くと、つい作業に気をとられてしまうのだ。

作業の効率化や丁寧さはもちろん重要だ。素早く美味しい料理を出すことは飲食店の使命だが、作業はあくまでも作業であり仕事に優先されるものではない。

12/06/2009

【日常】学歴

「学歴」って・・・はてな匿名ダイアリー

就職活動をしている学生から、「学歴って関係ありますか?」と聞かれることがたまにある。聞かれた場面や相手によって「ある」と言ったり「ない」と言ったりするのだが(つまり自分の内定先には事実上「ある」と思っている)、学歴についてよく考えてみると「学歴による評価」もある意味理にかなっていると思える。

学歴は、たんに個人の能力を示すものでは無い。その個人の両親や家族の育ちや資産までも推し量れるステータスだったのだ。

はてな匿名ダイアリーでは、学歴と両親の教育に対する姿勢の相関を考えているが、自分はこの要素以外にも「周りの人々」という要素が重要だと思う。

学歴が高いということは、「私は学歴が高い仲間が周りにいる中で育ちました」と同義だ。人の育ちはその人の家庭や学校にどんな人がいるのかに大きく左右されると思う。進学校や一流大学には、勉強も出来て上昇志向もある人間が多い。学歴はどんな仲間と共に育ってきたのかを示すものでもあるのだ。

ただ、あまりにも恵まれた家庭に育つと金銭感覚が狂うのはあえて書くまでもないが。

12/05/2009

【IT】評価システムの功罪

Amazon・youtube・App Storeなど、大量のコンテンツを置いているこれらのWebサイトには星5つで利用者がコンテンツを評価する「評価システム」がある。

自分は3つともよく使うので、コンテンツと同時に評価もよく目に入るのだがこの評価システムはなかなかの曲者だ。星5つが多い本を読んでみたら拍子抜けするほど軽い内容だったり、星の数の平均が3以下でも使っていみたらいいアプリケーションだったりする。
もちろん、個人個人の好き嫌いがあるから星の数と自分の評価が一致することもあれば一致しないこともある。

ここで、「そもそも」を考えてみる。このような星の数の評価システムはそもそも必要なのだろうか、そして有益なのだろうか。ここにこのモノサシの功罪がある。コンテンツに対して5段階の評価をする、というのは分かりやすい反面、必ず5段階で評価しなければならないことになる。上記の3つはコメント欄も付いているが、星の数を決めずにコメントを書きこむことは出来ない。コンテンツに対する人々の評価は、評価する人の分の多様性があるはずだ。それこそ、1直線の座標軸もxy平面でも3Dでも表せないだろう。



この本によると、クックパッドはこの多様性を重視して掲示板や星の数の評価システムは無いらしい。自分は実家暮らしの学生で、普段は料理をしないのでクックパッドを使う機会はほとんどないのだが、そのシステムには非常に興味がある。

12/03/2009

【書評】チャイナ・アズ・ナンバーワン



今後、中国に関する本を読むことになると思うが、どんな本を読んでもこの「チャイナ・アズ・ナンバーワン」を読んでおいてよかったと思うだろう。タイトルこそ80年代後半の「ジャパン・アズ・ナンバーワン」から来ているが、内容は非常に多くの統計データを基にしていて読みやすい。
様々な側面から中国を捉えているため「広く浅く」なっているが、だからこそ「中国入門」としてよかった。

以前読んだ、老いてゆくアジア―繁栄の構図が変わるときにもあったが中国が今後も成長を続けていくためには「生産性」という壁がある。もちろん、世界一の人口大国として労働人口という比較優位がすぐに揺らぐわけではない。しかし、2010~2015年にかけて労働人口比率がピークを迎え労働人口も減少に転じる。
この事実は中国にとっての試練であると同時に、日本にとっても大きな試練である。

著者は最後に日本への提言も加えているのだが、その中に「日本人の直接投資に関する誤解」というのがあった。

例えば、日本に得意分野である自動車産業において貿易障壁がなくなり年間100万台が中国に輸出できるようになれば、得意分野(=賃金が高い)かつ国内で多くの雇用機会(グッド・ジョブ)が生まれることになる。
しかし、日本における産業空洞化の議論はこの観点が抜けている。日本がもはや比較優位を持たない産業が古い工場を畳んで中国に持っていくと、従業員の解雇が問題になる。逆に、日本が比較優位をもつ分野の企業が中国に工場を建てると、「市場開拓」として評価される。これは衰退産業の保護であり、産業の高度化を遅らせている。本来は衰退産業を海外へ移し、得意分野を強化すべきなのだ。そのためには自由貿易が是が非でも必要になる。

この点に関しては自分も抜けていた。今後は中国をはじめとする新興国の企業のキャッチアップが日本の産業の課題になるが、「比較優位」をどうやって活用すべきなのかは考えていく必要がある。

12/02/2009

【経営】副業という働き方

今日すこし、「副業」について考えてみた。と言っても自分が始める訳ではなく、労働のオプションとして副業がもっと普及してもいいのではないか、ということだ。

そう考えるに至ったのにはいくつか理由がある。

●賃金の低下
今年の冬のボーナスは平均15%減となり、ワーキングプアと呼ばれる人々も含め日本人の給料は平均的に減っている。ならば、副業を積極的に推進し、個人ダブルインカムのように収入源を増やしてもよいのではないか。

●Google社の20%ルール
これは既に有名な話だが、就業時間の20%を定められた仕事と違うことに充てるというのはある意味「社内副業」と捉えることも出来る。そこで生まれた発想が新事業や社内ベンチャーなどをつくっているのだから、副業は本業とのシナジー効果も期待できる。

●起業はハードルが高い
現状の会社・給与に不満があっても、起業はリスクが高い。リスクを恐れて起業出来ないのなら副業しても儲からない、と言われそうだがたとえローリスク・ローリターンでも副業というオプションを認めることに意味がある。

●「副業禁止」への疑問
自分はまだ学生だから会社のルールなどはよく分からないが、そもそも企業が従業員に対して副業を禁止する理由は(企業・従業員双方にとって)正当なものなのだろうか。最近、目にした記事に「生活するために足りる給料を従業員に払えないような企業は退場すべき」みたいなことが書いてあった。この記事を読んで「なら、副業を奨励すればいいんじゃないか」と思ったことが副業について考えるきっかけになったのだが、本業への支障を過大評価して副業を禁止することはゼロリスク信仰という国民病ともいうべき日本人の典型的な考え方だと思う。

色々考えたことを書いたが、自分で書いて自分で疑問も沸いてくる。
そもそも、副業する時間があるのか。そもそも、副業は儲かるのか。これは人それぞれというしかないが、硬直的な日本の労働市場の改革を考える上では一つ考えてみるべきだ。

12/01/2009

【書評】スパークする思考 右脳発想の独創力



著者が内田和成氏ということなので、買ってみた。日常の発想力(右脳)を仕事でも生かそう、と書くと「日常に仕事を持ち込む」となってワークライフバランスが云々。。。みたいになってしまうが、内田氏は「公私混同して両方楽しむ」ことが独創的なアイデアを生むと言う。

また、デジタルツールなどを使った情報の蓄積・整理には必要以上に手を出さない。全くやらないということもないし、情報を覚えない・整理しないということもないが、「必要以上にやろうとしない」ことが重要なのだ。アナログこそ、独創的なのだ。


このブログを始めて約2ヶ月経ったが、書評は合計27になった。この期間に27冊読み終わったということだ。2~3日に1冊ペースといったところか。ブログで書評をつける前のペースは分からないが、確実にスピードアップしていると思う。
書評を書くために読んでいる訳ではないし、その書評も誰かに読んでもらっている訳でもないし、一応Amazonのアフィリエイトプログラムは利用しているが収益が目的でもない。ただ、読んだ本とそれについて感じたことを記録する意味では時系列のブログはちょうどいいし、ブログの文章にどう落とすかを考えながら(=自分の考えを整理して、誰かに説明できるようにしながら)本を読む癖がつくのがブログ書評の効用だ。

11/30/2009

【書評】ワーキングプア いくら働いても報われない時代が来る



本書は2006年に執筆されているので、「景気回復期にワーキングプアという社会問題にスポットを当てた本」として読むべきである。
最近は、城繁幸氏や湯浅誠氏の本も読んできたが門倉貴史氏を含めた3人はそれぞれ焦点が異なっている。城氏:正社員、門倉氏:フリーター・ワーキングプア、湯浅氏:生活保護・ホームレスといったところだろうか(もちろん、明確に分けられている訳ではない)。

門倉氏はエコノミストの立場から、多くの統計データを用いて問題を考察する。また、統計データだけでは実態が分かりにくいのでドキュメントとして10人の方々のインタビューも載せている。
著者もあとがきで記すように、このドキュメントの受け取り方は人それぞれだ。自分としては、必ずしも全員が現代の構造的な問題からワーキングプアになってしまったというような印象は受けなかった。おそらく、戦後の日本において低所得者層はずっと存在したであろう。

著者は最後の章で「企業が副業を認めること」や「支出税」などを提言している。いずれも初版から3年経った今でも実現には遠い(副業はリーマン・ショック以降認める企業も多少出てきてはいるが)。

また、「人手不足が発生すれば自然と若者の雇用環境が改善する」というロジックは短絡的だと指摘している。それは企業が求める能力と学生の能力の間にミスマッチが生じているためだという。
この問題の一つの解決方法は「大学の専門機関化」だろう。医学部や児童学部のように、ある程度将来のコースが決まった学部や学科を設けて専門的に教育するようにすればある程度ミスマッチの程度は縮まるかもしれない。(大学の専門機関化には弊害も多々ある)

11/29/2009

【日常】大学の教室の張り紙

今日、家の近く大学にTOEICを受けにいったのだが、受験した教室にあった注意書きの張り紙に驚いた。

教室内で飲食をした場合は、ゴミを捨てるか持ち帰ること。
ゴミを捨てる場合は所定のゴミ箱に分別して捨てること。
また、机への落書きをしないこと。
                           学生課

この内容は大学生に注意を喚起しなければならないことなのだろうか?中学校の教室に張ってあるのならまだ分かるが、18歳以上の大学生に対してゴミや落書きに関する指導は非常に違和感を感じる。

もっと言うなら、自分で出したゴミを捨てない学生や、机に落書きをするような学生がいるのなら(いるorいたからこのような注意書きがあるのだろうが)、それは注意書きを張ってその迷惑行為がなくなればOKということにはならないのではないか。

そもそも大学側に生徒のマナーに関してどこまで責任があるのかは別の話になるが、どんなに専門的で高度な学問よりも(社会)人として基本的なことを身につけるべきだと思う。

11/28/2009

【経済】デフレは原因ではなく結果

先週末の為替市場は円独歩高となった。
米国の低金利政策の長期化観測と、ドバイ・ショックによる欧州経済への信用不安で円が逃避先になったのだ。

そこでニュースなどでは「デフレが加速する懸念がある」となる。当然、円建ての輸入価格が下がれば輸入品の価格は下がるし、それが他の製品の価格も引き下げるというのは理解できる。
また、デフレスパイラルという言葉はおそらく中学生の頃から何度も何度も耳にしてきたが、この説明が「インフレを起こせばいい」という誤解を生むのではないだろうか。

「物価が下がる」→「企業の売上が減る」→「企業の従業員の給料が減る」→「消費が低迷する」→「物価が下がる」→・・・(繰り返し)

ロジックはいいのだが、「物価が下がる」という前提があるから「インフレを起こせ」となるのだ。物価が下がる結果になった構造的な原因(日本経済の非効率性)を解決しなければ、問題を悪化させるだけだ。

11/27/2009

【IT】若年層の最強メディアはmixi(かもしれない)

mixi、アプリが奏功、総利用時間でYouTube抜き、Yahoo!に次ぐ2位に

09年10月の国内サイト利用時間でmixiがYahoo!JAPANに次ぐ2位になった。

このランキングは「職場と家庭からのアクセス」の人数と時間なので、おそらくケータイは含まれていない。

Yahoo!がトップなのは、単純にIEを立ち上げたときのページが初期設定のままか見慣れているからYahoo!に設定しているだけなのだと思うが、そもそも「まだIE?」「まだYahoo!?」と思ってしまう。
他の人が自分のPCの設定をどうしてようとその人の勝手だが、ブラウザをFirefoxにせずメールをGmailにしないのは、ただ「知らないから」では終わらない問題のような気がする。
それは、利用者にとって「インターネットを便利に使いたい」というインセンティブがないのか、それともインターネットの側に魅力が足りないのか。インターネットの魅力の感じ方は人それぞれだが、少なくとも自分は「ウェブ進化論」や「次世代ウェブ」を読んでワクワクしたのだけどなぁ。
あと、microsoftのサイトにもアクセスが多いのは「Windows7」が10月に発売されたからかな。

mixiの方に戻ろう。ココでのmixiの伸びは利用者数ではなく総利用時間数だ。

つまり、mixiアプリによって一人当たりの利用時間が増えたのだ。mixiは最近「voice」やアプリによってtwitterやAppleのiPhone・iPod touchのゲームに対抗する動きを見せている。
最初は「マネで後追い」だと思っていたが、これまで順調に伸びているのはmixiが日本最大のSNSだったからに他ならない。twitterやアプリにはマイミクの存在という「ネットワーク外部性」がある。電話のように(マイミクの中で)使う人が増えれば増えるほど効用が増すのだ。

おそらく、mixiには若年層の多くがケータイでアクセスしている。当然、ニュースなどもmixiで目にすることになる。エンタメ情報などはテレビのワイドショーと重複する面も多く、「テレビをほとんど見なくてもmixiニュースで間に合う」とも言える。
個人的にはテレビはもはやほとんど観ていないので、周りの人達がどんなメディアと接しているのか肌感覚では分からないのだが、若年層のかなりの人々がmixiで情報を得ているのではないかと思う。

11/26/2009

【書評】なぜ世界は不況に陥ったのか 集中講義・金融危機と経済学



池尾和人氏と池田信夫氏の対談形式で、金融危機と不況について冷静で中立的な議論(ほとんど池尾氏の解説)が進められている。
冷静で中立的というところが肝心で、今回の金融危機をテーマにした本は色々と出版されているが、感情的で勧善懲悪のトーンで話が進むパターンが非常に多いと思う。

ウォール街のインベンストメントバンカー達の罪状をただ読み上げるだけなのは、それはそれで必要かもしれないが自分は読みたいとは思わない。(そもそも、読みたい人が読むのが本というものだが)

この本は結論として、
競争力の強い輸出産業と、競争力の弱い国内の非製造業の生産性の格差が拡大していることが日本経済の最大の問題
としている。その解決のために、
解雇規制の緩和・資本市場の充実が必要
と説く。もちろん、これをした後にくるのはさらなる競争社会だ。

11/25/2009

【書評】過剰と破壊の経済学 「ムーアの法則」で何が変わるのか?



「半導体の集積度は18ヶ月で2倍になる」というインテル創業者のゴードン・ムーアが1965年に提唱したこの法則、これは現代も続いている。それによるコモディティ化・水平分業化は、IT業界をはじめ様々な企業にとっても避けられないテーマだ。

本書の主題は「ムーアの法則」だが、一番気になったのが「IT業界のマーフィの法則」だ。この法則は失敗するプロジェクトの法則をこう表す。

1:最先端の技術を使い、これまで不可能だった新しい機能を実現する
2:数百の企業の参加するコンソーシアムによって標準化が進められる
3:政府が「研究会」や「推進評議会」をつくり、補助金を出す
4:メディアが派手に取り上げ、「20XX年には市場規模が**兆円になる」などと予測する

これは日本の政府だけでなく、企業内にも内包する問題かもしれない。最初に「役に立たない」とか「不可能だ」と言われたものが、後々に大成功する話はよくあるが、逆に最初の方で「これこそ次世代の技術だ」と騒がれると成功しないのだ。

この法則を眺めていると、この法則があるからこそ世界は面白いと捉えることが出来る。結果論だが、これまでの様々なイノベーションがこれに当てはまらないからこそ、それは後々にイノベーションと呼ばれるのだ。

【書評】成功は一日で捨て去れ



読みたい・買いたいと思って、書店に探しにいってもない本も多いが、この本はどんな書店にも平積みされているくらい売れている。逆に、この書評を書いている11月25日現在で、Amazonでは在庫切れになっているくらいだ。

この本を読んでいて感じたことは、柳井氏が今悩んでいることだ。

ユニクロをはじめとするファーストリテイリンググループはこれまで、柳井氏の強烈なリーダーシップで成長してきた。
そして(本人も指摘していたが)これからの更なる成長のためには「後継者」が欠かせない。その周囲の心配を払拭するためか、各章の終わりに付された毎年の新年の挨拶には「社員全員」という言葉が連発する。そして、最後の章は「次世代の経営者へ」と後継者育成への決意を語っている。

また本書のタイトルでもある「成功は一日で捨て去れ」は、もちろんこの本を読む人に対して向けられたメッセージであるが、実は柳井氏が自分自身に対しての戒めという意味も込められているのではないだろうか。

本書の中で一番面白かったのが、柳井氏が「衣料品小売業界の中にはチャンスはないと思っている」と書いていたことだ。
そして、「例えば携帯電話を敵と捉えれば、それよりももっと魅力があって買いたくなるような洋服とはどんな商品なのかを考える」ということだ。敵は同業界内ではなく、他の業界(そもそも業界という括りをする時点でダメなのかもしれないが)と考えることがこれからは全ての企業で求められるのだ。

11/24/2009

【IT】ウェブサービスの「キャズム」

iPhoneのアプリをはじめとして、自分としてはウェブ上のサービスを一般的な人よりは使っていると思っていたが、最近その「使う人」と「あまり使わない人」の間にキャズムが存在するように感じてきた。

バイトの後輩と話していたら、twitterは知っているがRSSは知らなかった。また大学の友達もGmailやGoogleカレンダーは知っていてもGoogleドキュメントを知らなかった。
ココにキャズムがある。twitter・mixi・ブログ・youtubeはキャズムを越えたが、RSS・Googleドキュメント・Dropboxは越えていない。

このキャズムを分かつものは、iPhoneなどのスマートフォンなのかもしれない。最近、IBMのCMでもクラウドコンピューティングというフレーズが登場しているが、スマートフォン=クラウドを実現する端末と言っても過言ではない。

反対に、今日本で普及しているケータイのほとんどはクラウドには不向きだ。もちろん、mixiモバイルやtwitterのようにウェブサービスの方からケータイに対応してくる可能性もある(ココがクラウドの素晴らしいところだと思う)。しかし、自分から様々なウェブサービスを活用したいと思うようなキャズムの前に入るアーリー・アダプター達は、対応するのを待つ前にスマートフォンを手に入れるだろう。

今後、様々なクラウド・コンピューティングサービスが登場することが期待できるがその普及を阻むのは日本のケータイなのかもしれない。

【経営】日航の年金問題

OBの企業年金は強制減額すべきではないーーー山崎元

今朝のニュース番組で昨日行われた、日本航空の企業年金減額に関する労組・OB向けの説明会の様子を放送していた。
報道陣は会場内に入れなかったようなので、OBへのインタビューが中心だったが、「納得できない」という人から、「仕方がない」という人までいた。

自分としては、すんなりとは強制減額するべきではないと考えている。
日航の企業年金が増えても減っても、自分のサイフには直接の影響は何もない。しかし一番懸念されるのは、これから経営不振に陥った企業やその債権者が「日航の例に倣って、まず年金減額!」と持ち出す前例を作ってしまうことだ。

当然、日本航空は「ナショナルフラッグシップ」とされ日本の公共交通を担う企業であるが、日航以上に年金の積み立て不足がある企業(日立・NTT・トヨタ自動車・パナソニック・三菱電機・・・)なども同じように日本人の感覚では「つぶすには大きすぎる」企業である。
これらの企業は経営危機にまでは陥ってはいないが、米国ではGMはchapter11送りにしたように、日本政府はこれらの企業を法的整理する決断が出来るのだろうか。

「日本航空に公的資金」というニュースになると、「まず高給を削れ」「その前に高すぎる年金を減額しろ」というコメントがYahoo!ニュースなどに見られる。もちろん、批判する気持ちは分かるし、日航側は批判されても仕方ないと思う。しかし、だからと言って企業年金の強制減額をやってしまうと、国として由々しき前例を作ってしまうことになる。

では、どうすればいいのか。
「すんなりと」と書いたように、揉めに揉めればいいのだと思う。
公的資金の原資となる税金を出す国民の理解を得るために、公的資金注入の前に特別立法で企業年金を強制減額する、のはある面では筋は通っているように見えるが、そうなると全ての労働者(この場合は正社員か)にとって将来貰える企業年金が蜃気楼のオアシスのようになくなってしまうことになりかねない。

11/23/2009

【政策】補助金は成長戦略にならない

経済における第三の道ーーー菅直人公式サイト

菅直人副総理・国家戦略担当相が公式ブログに「第三の道」を考えていると述べている。それに対して、早速様々な人達がブログで反応した。

成長戦略とは競争戦略であるーーー池田信夫blog

菅さん、やっぱり官僚主導に戻そう!ーーー金融日記

下の金融日記を書いている藤沢数希氏は数日前のエントリーで以下のようなことも書いている。

成長戦略ってなんだ?ーーー金融日記


つまるところ、経済成長のための戦略とは「環境立国のために、補助金を出す」とかではなく、規制緩和や減税なのだ。
今の財政状況では減税は政治的に困難でも、規制緩和にはお金はかからない。

菅副総理は自民党の小泉・竹中路線を「批判」しなければならない立場に自分がいる、と思っているのもしれない。だから「第三の道」に逃げるしかないのかもしれない。しかし、その考え方こそが自縄自縛になってしまう可能性がある。

11/22/2009

【書評】クリック!「指先」が引き寄せるメガ・チャンス



人々の考えていることは、検索窓に打ち込むクエリーに如実に現れるーーー本書では(米国での)様々な事例を用いて、その可能性と限界を示している。

「データは嘘をつかない。ただし、解釈の仕方によってさまざまな落とし穴がある」と著者が言うとおり、問題はデータの内容ではなく解釈の仕方なのだ。「1/2」を「半分しかない」と解釈するか「半分もある」と解釈するかでは、事実は変わらないが理解が異なってくる。

本書での事例はほぼ全て米国で起きたことなので、身近には感じることのない名前ばかりだが、多少は日本人の行動に通じるものもある。年初の4~5日に「ダイエット」に関する検索が多くなるのは、先進国共通だろう。

インターネットを使った調査の最大の強みは「速報性」だ。本書の中でもその速報性を活かせば、経済指標が発表される前に数値を予測することも可能なのではないかと、チャレンジしたりしている。
もちろん、上手くいくこともあれば失敗することもあるのだが、重要なのは「人々の行動がネットでの行動に投影されている」ことだ。

こうしてブログを書いていることも、何かを検索することも、リンクを辿ってサイトを閲覧することも、すべて何らかの「意図」がある。しかもその意図はえてして無意識のなかにある。その無意識こそ、人々が今まさに考えていることを映しているのだ。

11/21/2009

【メディア】TV局の幻影肢シンドローム

昨日、フジテレビの番組「探そう!ニッポン人の忘れもの」をたまたま観た。その中で、70~80年代のテレビ局の報道と現在の報道の違いをやっていた。
印象に残ったのは内容よりも、司会の小倉智昭氏が「インターネットの書き込みなどは匿名でどんどん酷くなっていくが、我々は真実を報道しなくてはならない」と纏めていた場面だ。

この発言はテロップにもなって強調されていたが、今のテレビ業界を「幻影肢シンドローム」を象徴している。
幻影肢シンドロームとは、『戦場で右腕を失った戦士が「右手の中指が痒い」と感じる』という症状で池田信夫氏もブログで記者クラブや興銀などを例に出していたが、小倉氏の発言も同じことだ。

インターネットを敵視してテレビ局の存在意義を正当化したい気持ちは分からなくもない。しかし、それに共感出来るのはテレビ局からの収入で生活する人たちか、ただテレビが大好きな人たちだけだ。



この本の中で著者の中川淳一郎氏は「最強メディアは今も昔もテレビ」だと述べていた。しかし、それはあくまで「低俗的なものに関しては」だと思う。中川氏も「頭の良い人ではなく、普通の人・バカの人の話」と述べていることを考えると、テレビ業界はこれから「低俗的な番組」を出し続けていくしか活路はないのかもしれない。

「真実を報道する」ことをインターネットは出来ない、と思う人はいないだろう。しかし、「低俗的なこと」(何が低俗的で、何がそうではないかの区別は人それぞれだが・・・)を映すのは相変わらずテレビ局に一日の長があるのではないだろうか。

11/20/2009

【経済】ケインズ経済学がダメな理由

金融日記---景気が悪くて需要が足りないから財政出動するという考えが日本経済をボロボロにした

様々な本やブログなどで、「ケインズ経済学はダメだ」という文章を目にしてきた。なんとなく分かった気がしていたのだが、自分の中でうまく整理できておらず、もし他の人に説明する機会があってもちゃんと説明出来ないなぁと思っていた。

そこで、このエントリーを読んでスッキリした。

改めて感じたのは、政府のジレンマだ。これは日本に限ったことではないが、政治家にとっては「選挙」は絶対に軽視出来ない。むしろ、それが全てだとも言える。
その制約の中で、「景気が悪い」となれば「政府が景気対策をする」ことがある意味当たり前になっているとすれば、ケインズ経済学を拠りどころにするしかないのかもしれない。

「景気対策」を錦の御旗に赤字国債を発行するのは、需要の先食いであり将来にツケを回しているだけだと実証され、パブリックなコンセンサスになるのはまだまだ先かもしれないが、手遅れになる前に何か打つ手はないものか。

11/19/2009

【書評】タッチ1秒パソコン術



800円も出して買う本かな、とも思ったがこういうツール本は新書の形で手元に置いておきたいので買ってみた。
基礎中の基礎から書かれているが、なるべくマウスやタッチパッドを使わないためにまずはココからマスターしたい。

まだエクセルを使う機会はほとんどないから、社会人になったらエクセルのショートカットキーなどを覚えたい。

【経済】激変の時代は本当か

「最近は時代の変化が速くなった」

このフレーズを見たり聞いたりすることは非常に多いが、日常的に見聞きするため、納得したことはほとんどない。常に言われているということは、変化のスピードは「速くなった」のではなく「常に速い」のだ。
さらに、(これはコトバの問題だが)あるモノのスピードが「常に速い」ということは「一定の速度」で常に変化しているということだ。

自分は冒頭の台詞を見聞きする度に、「ただそう思いたいだけなのではないか」と穿った見方をしてしまう。そこで、そもそも「時代の変化」をどう測ればいいのかを前から考えていた。

結論から言えば、自分と歳が離れた人と自分を比べて「同じ歳だった時期の感覚」を比べることが、時代の変化を肌で感じられると思う。例えば、5歳年下の人と自分とでは携帯電話に対する関わり方が大きく違うだろうし、10歳年上の人と自分とでは自動車に対する考え方が違うかもしれない。

つまり、「感覚のズレが生じる年齢差」こそ時代の変化のスピードになるのだ。おそらく、現代におけるこの年齢差は上昇(=変化が遅くなる)はしていないだろうが、大きく縮小(=変化が速くなる)もしていないというのが自分の仮説だ。

もちろん、この指標だけで時代の変化のスピードを測るのはかなり危険だ。世代内の感覚のズレなども生じている可能性だってある(自分の感覚ではほとんどないが)のだから。

「ドッグイヤー」という言葉は、犬の1年はヒトの7年に相当するということから短い期間に様々なことが起こるを意味する。この前ちょうど自分と7歳年が離れた女子高生と少し話す機会があったが、7年前の自分たちの世代とあまり変わっていないように感じた。

時代は常に変化している。立ち止まることはないが、急に速くなることもない。これが自分の仮説だ。

11/18/2009

【書評】親子就活 親の悩み、子どものホンネ



現代の就職活動における親と子のリアルーーー読んでいてココは我が家と同じ、ココは我が家とは違う、など色々感じた。後者の方が多かった(そう思いたいバイアスが掛かっているとも思う)が、一方で40代~60代の親世代の価値観からも自分の価値観は離れていた。

自分の経験から言えば、高校受験・大学受験・就職活動などの「進活」や「就活」において両親から押し付けられたことはほとんどなかった。また、高校時代・大学時代の学校の友人を見てもそのような人達は少なかった。それが「普通」だったのは、もしかしたら大学においても就職先においても親もよく知っている、いわゆる有名大学・有名企業だったからなのかもしれない。

親から進路についての「押し付け」は皆無でも、多大な「支援」は逆に普通以上に受け取っていたと思う。3人兄弟で3人とも私立の幼稚園・小学校・高校・大学まで通ったという客観的事実から観ても、資金面での支援は非常に大きかった。それでいて、親はほとんど口出ししてこないのだから、今更ながらなんて自分は恵まれた家庭に育っているんだと痛感する。

本書では、「親と子の距離感」についての著者の考え方が記されている。一番心に残ったのは、「辛そうな子どもが不憫なのではなく、辛そうな子どもの姿を見ている自分が辛いだけではないのか」という言葉だが、この言葉こそ現代の
親と子の距離感を象徴している。

11/17/2009

【書評】「作る」キヤノンを支える「売る」キヤノン



この類の「企業取材本」は、企業の中身を知れるという点では面白いしサクセスストーリーとして読むのならよく出来ている。



上記の本もクックパッドへの取材をもとにして書かれているため、内容は濃く、新鮮な考え方も多くあった。

しかし、これらの本を読んだ後の消化不良感はいつも拭えない。それはおそらく、他社比較がないことや強みにフォーカスし過ぎていることから来ると思う。

本書の主役、キヤノン販売(現キヤノンマーケティングジャパン)の掲げる姿勢「顧客主語」。言うは易し行うは難しだが、営業活動の上で忘れてはならない姿勢である。

11/16/2009

【経営】鴻海が7兆円企業に

家電組み立て世界最大手、液晶4位を合併 「鴻海」が7兆円企業に

これで液晶パネルのシェアは、1位:サムスン電子・2位:LGディスプレイ・3位:AUO or CMOとなった。AUOはacerグループ、CMOは鴻海グループである。
サムスンの最近の決算が好調だったことはよく知られているが、実は韓国・台湾のエレクトロニクス産業は現在非常に勢いづいている。


上記の本でも指摘されているように、韓国・台湾の企業の体質は日本の電機企業とは全く異なる。「欧米企業との水平分業」「素早い意思決定」「最初からグローバル市場を見据えている」など、日本の電機産業にはない要素が備わっている。

11/15/2009

【書評】3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代



これから、自分と同世代の若者が戦わなければならないものは間違いなく「既得権」だ。しかしそれは、既得権を得ている層を引き摺り下ろすのではなく、自分達がその価値感に染まることを避ける戦いである。

それは気持ちの話ではなく、構造の問題だ。最低賃金の引き上げや、製造業派遣の原則禁止などの小手先の政策ではなく、同一労働同一賃金や職能給へのシフトによって構造を変えなくてはならない。

また、本書でも指摘されているように左派政党などのメディアのスケープゴート論にも騙されてはいけない。共産党の存在意義である労使闘争はもはや昭和の思い出なのだ。

【IT】電子デバイス戦国時代

単機能デバイスは消え去るのみ---IT Media

ここ1~2年は様々な電子デバイスが登場した。ネットブック・iPhone3G・Android・Kindleは世界中で発売され、日本でもキングジムのpomeraやSHARPのNetWaklerや東芝のスマートフォンT-01Aなどが市場に投入されてきた。

キャズム理論におけるearly adoptersに属する(と自分で思っている)自分はネットブック・iPhone3G・Androidを手に入れ、実際に使ってきたが最近はiPhone3Gに統一されてきた感がある。

ネットブックに関しては市場で多くの商品が出回る前に購入したので、WindowsVistaがインストールされているがかなり動きが遅いのでいつの間にか使用しなくなった。お金がなかったので、イー・モバイルなどのデータ通信に加入しなかったのも使わなくなった理由のひとつかもしれない。

Androidはこれもまた日本での発売直後に購入したが、アプリケーションなどの不足感と端末のスペック(動作ではなく、赤外線通信がついていないなどの機能面)が不満で、結局前のケータイに戻してしまった。これに関しては、アプリケーションなどの不安面が解消されたら再び使うかもしれない。

一方でiPhone3Gは使わない日がない。最近は使っている友人も多くなったが、皆満足しているようだ。

Kindleが日本語対応になったら是非買いたいと考えているが、電子ブックリーダーという単機能では「キャズム」は越えられないかもしれない。

iPhoneが市場を制した、とはまだ判断できない。しかし、「多くの機能が組み込まれている」「UIが使いやすい」「モバイル性に優れる」という点では現在では電子デバイス市場のトップを走っていることは間違いない。

11/13/2009

【Mobile】復元して気付いたiPhoneの有用性

iPhoneが何の前触れもなしにiTunesと同期できなくなり、色々イジったが結局工場出荷時の状態に復元せざるを得なくなった。

そこで気付いたのが、なくしたデータはSugarsyncで同期していなかった写真くらいということだ。他のケータイを復元するとなると、連絡先・メール・写真・着うた・ブックマーク・アプリケーションなどが消える(無論、バックアップがとってあれば別だが)。
しかし、iPhoneの場合はほとんどのデータはネットワークかPCのiTunes上に置いてあるため、復元してもデータが消えるという痛みはほとんどない。連絡先はGoogleContact、メールはGmail、カレンダーはさいすけでGoogleカレンダーと同期、写真などはSugarsync、音楽・アプリケーションはiTunes(PC)なので、再びもとの状態に復元出来る。もちろん、設定など細かい点は自分でやりなおさなければならないが、ポジティブに考えれば音楽やアプリケーションなどは今まで使わずに残しておいたものを外す機会にもなる。

もともと、クラウドとの親和性が高いと言われていたiPhoneだが、アプリケーションだけでなくデータの保存に関しても有用だとなれば天晴れと言う他ない。

11/12/2009

【書評】プロフェッショナルたちの脳活用法



まず、本書は脳活用法の本ではない。登場する人々は意識して脳を活用したのではないからだが、だからこそ色々な人の考えていることが分かって面白い。

「逆に雁字搦めのなかに、実は建築をいい味にするヒントが隠されている」という制約をヒントにする隅研吾氏、「子どもの自分って捨て去ってしまったなんていうけど、実は忘れているだけなんですよ」と好奇心の大切さを説く荒井良二氏の言葉などは非常に示唆に富んでいる。

茂木健一郎氏や勝間和代氏の著書は本屋で本当によく見るが、あまり手は伸びない。もちろんほとんど読んでいないのだが、あれほどハイペースで発行されると1冊1冊の重みが感じられなくなってしまうし、(イメージ先行だが)自己啓発本にしか思えない。自己啓発というジャンルも曖昧だし、価値がないとも思わないが、自分の中で興味が薄れてきているのは確かだ。

【経営】規模拡大でのコスト削減という幻想

10月26日(月)の日経新聞の「経営の視点」という連載コーナーに、小売業の常識を破る内容が載っていた。それは小売業における「規模の追求」は単純にコスト削減&低価格化にはつながらない、というものだった。

その構図はこうだ。
●基本的には、規模による仕入れでコストが下がり、低価格を実現する。
●しかし、そもそも小売は製造から流通までの流通段階で利ざやが薄くなり川下での劇的な価格引き下げは困難である。
●巨大化すると人件費などの組織運営コストが肥大化する。
●結果的に、規模による仕入れで得たわずかな利益をオペレーションコストが食いつぶす。

この構図の象徴がイトーヨーカ堂の営業赤字で、逆にこの構造に逆らっているのがユニクロやカインズなどだ。
ユニクロなどは、川上に自ら攻め込み、マーケティングの嗅覚も培っている。

「規模拡大」志向は良いとも悪いとも言えない。ただ、「規模を拡大すればいい」志向は間違いだ。それによって失うものを過小評価してしまっている。

11/11/2009

【Mobile】Wi-Fiに逃げるソフトバンクモバイル

iPhoneに続け? ソフトバンク孫社長がWi-Fi携帯を売り込む事情---石川温のケータイ業界事情(IT-PLUS)

NTTドコモ・ソフトバンクモバイルが冬春モデルの新製品を発表した。今回はAndroidやiPhoneなどの目玉となる製品の登場はなかったため、そこまで話題にはなっていないが、ここ最近は「増幅するトラフィック」への対応に各社が腐心する姿がよく目につく。

NTTドコモは「128kbps」という亀のように鈍いデータ通信サービスを導入してきたが、逆に言えば「低価格での大容量3Gデータ通信」はトラフィックがもたないのだろう。

ソフトバンクモバイルは「Wi-Fi」という「今更」感たっぷりのサービス。いまやWi-Fi機能はSDカードなどにも付いているから、携帯電話に付いた所で全く驚きはしないが、ソフトバンクモバイルの孫正義社長は「3Gより格段に速い通信が出来ます」という。これも逆に言えば「少しでもWi-Fiにトラフィックを逃したい」ことが本音だろう。

これを書いていて思ったのが、「たばこ増税」の構図と同じということだ。「健康のため」と必ず言うが、少しでも税収を増やしたいというのが明らかに増税の理由だ。

本音と建前はいつの時代にもあるものだし、建前は使いようによっては有効だと思う。しかし、すぐに見破られてしまうような戦略的でない安易な建前はあまりにも惨めだ。

11/10/2009

【経済】温暖化問題が既得権になる日

地球を冷やす安価な方法---池田信夫 blog

最近読んだ色々な記事の中で一番衝撃的だったのがこれだ。「地球温暖化」というは先進国が産業革命以降に犯したものだから、今後CO2などの温室効果ガスの排出を削減することで罪を償っていかなければならない、というのは世界中のコンセンサスだ。

しかし、「温暖化を防ぐ」という目的のための手段は「温室効果ガスの排出削減」しかない。というのは非常に危険な考え方だ。
温室効果ガスの削減よりも、非常に安価な方法で地球を冷やす方法があったとしたら?
そもそも太陽活動が減衰期に入ってきていて、これから地表の平均気温が上昇いないとしたら?

「温暖化対策」という大義名分が崩れたとき、「罪を償わなければならない」と叫ぶのは温暖化対策で富を得ている新しい既得権層なのではないか。

11/09/2009

【IT】10年後のパソコン

デルAdamo XPSは11月18日発売、17万4000円から---engadget Japanese

新しいPCのニュースを見ると、マイクロソフトの採用面接で「10年後のPCってどうなっていると思いますか?」と聞かれたことを思い出す。どう答えたかはよく覚えてないが、確か無線LANが街中に張り巡らされていて誰もがPCをどこでも扱うようになっていると答えた気がする。今思えばこれは「使い方」の話であり、現在の延長線上以外の何物でもないから、的外れでつまらない回答だ。

これからPCはどう進化するのだろうか。デルの新製品のように「薄く」やVAIOのTYPE Pのように「軽く」、エイサーのPCのように「安く」は当然の流れだと思うが、「薄くて軽くて安いPC」はそもそも大きな需要を生み出せるのだろうか。ビジネスマンには需要があるかもしれないが、これも現状の延長線上に過ぎない。

学生や女性もある程度は日常的にPCを使っている。しかし、「安い」は嬉しいかもしれないが「薄くて軽い」必要は必ずしもない。OSもWindows7でもXPでも、どっちでもいいのかもしれない。そもそも、PCよりも携帯電話のほうが身近だろう。

もし、PC市場の起爆剤があるとすれば、現状の延長線上にはない「何か」だろう。答えは今は思いつかないが、考える価値はある。

11/08/2009

【経営】外国車メーカーの日本撤退

東京モーターショーに外資系の自動車メーカーがほとんど出展しなかったことはニュースになっているが、水面下では外車メーカーが日本からかなり撤退している。

これはニュースソースもなく、自分で見た上での感覚の話なのだが、神奈川県では東名横浜町田のGM、六会のJaguar、湘南台のFord、辻堂のRENAULTのディーラーが今年撤退した。

撤退の理由は「売れない」ことに尽きるだろう。エコカー減税の対象車もほとんどラインナップになければ消費者の足は遠退くばかりで、市場全体もほとんど伸びる余地がない日本市場はメーカーにとっても魅力的ではないのだ。

しかし、だからと言って外車メーカーは日本から退場するしかないということにはならない。既存のメーカーでなくても、「破壊的イノベーション」で参入できる余地があると思う。ガソリンエンジンからEVへの転換が様々なメディアで報じられているが、それと同時に垂直統合から水平分業も進む可能性がある。「自動車のPC化」とも言うべきか。OS・CPU・HDD・グラフィックチップ・モニター・組み立て・流通など、PC製造における水平分業が自動車業界でも起こる可能性はある。

11/07/2009

【書評】非対称情報の経済学―スティグリッツと新しい経済学



標準的な経済学に「情報の非対称性」というエッセンスを加えた場合の需要や価格などの変化を簡潔に示している。無論、情報の非対称性を加味すればしっかり現実を説明出来る、という訳ではない。除法の非対称性であれ他の要素であれ、それを考慮したときにどのように変化しどのような示唆が得られるかが重要なのである。

著者は2002年時点での日本経済を「非効率なナッシュ均衡」状態と指摘している。2003年~2007年までは景気拡大局面であったが、この非効率なナッシュ均衡はほとんど解消されていない。2009年現在、政権交代が起こったが、新政権からは効率性という言葉は聞こえてこないし、これからもテーマになる気配もない。日本に必要なものは、池田信夫氏が言うように「明日はよくなるという希望ではなく、変えなければ明日はないという絶望」なのかもしれない。

11/06/2009

【IT】AmazonがPBを販売

アマゾンでプライベートブランド『Amazon ベーシック』‐‐‐マイコミジャーナル

アマゾンがプライベートブランドを販売する。
アマゾン・ベーシックというブランドで販売するが、アマゾンの戦略はなかなか興味深い。Kindle、クラウドなどの先進的な取り組みからプライベートブランドと自社製品を多く出してきている。

KindleやPBは現在の通販ビジネスと競合する気もするが、そこを看破しようとするところが面白い。

11/05/2009

【NEWS】フィオリーナ氏が米上院選に出馬へ

フィオリーナ氏が米上院選に出馬へ 米HPの元CEO‐‐‐NIKKEI NET


Hewlett-Packardは個人的に好きなメーカーだ。次にWindowsのデスクトップPCを買うときはHPにしようと思っている。モバイルPCならVAIOのXシリーズで、それと別にMacも欲しい。全て揃うのはかなり先の話になると思うが、とりあえずデュアルモニターに憧れている。

さて、そのHPの全CEOであるカーリー・フィオリーナ氏が米上院選に共和党から出馬するらしい。受付からCEOになり、コンパックとの合併の成果が出ずに事実上解任された、ぐらいしか知らないのでこの機会に私はこうして受付からCEOになったを読んでみようと思う。

11/04/2009

【書評】ニコニコ動画が未来をつくる ドワンゴ物語



こういうノンフィクションはほとんど読んだことがなかったので、非常に新鮮だった。300ページに及ぶ、新書にしては長い内容で、前半部分は1990年前後という自分がゲームもウェブも実感したことのない時代だったので、懐かしさなどはないがココにドワンゴのルーツがあるのだろう。

面白かったのは「同期と非同期」「送り手と受け手」「不完全なままのリリース」などの考え方だ。
「同期と非同期」は自分の中でもまだ上手く整理できていないのだが、ネット上のサービスだけでなく様々なことに応用できる考え方なのかもしれない。
「送り手と受け手」を明確に区別することや、「完全な状態でのリリース」は今までの常識であったが、これからもそれらを守り続ける必要はない。

11/02/2009

【映画】THIS IS IT

もうこんなエンターテイナーは現れることはないのだろうな。その理由はマイケル・ジャクソン自身の魅力が半分、ウェブなど時代の影響が半分であるが、前者を知るためにこの映画はもってこいだ。
自分はマイケル・ジャクソンの全盛期に音楽を聴くことはできなかったが、彼の能力・感覚・こだわりをこの映画を通じて知ることができた。

10/31/2009

【日常】First Impression

最近、改めて思うのが「第一印象」の重要性だ。言われてみれば当たり前だが、逆に言うと意識している人は少ないと思う。「人は見た目が9割」なんて本も出ていたが、同じように第一印象もかなり大切だろう。
就職活動や、接客の仕事などはコミュニケーションをとる時間が短いので、第一印象が全てと言っても過言ではない。会社の同期や、学校のクラスなど、長い付き合いになる人に対しても、第一印象は重要だ。自分の近くの誰かの第一印象は思い出そうとすればすんなり思い出すのではないだろうか。

第一印象は非常に重要だ。しかし、このことを意識している人は多くはない。そこに、チャンスがある。

10/29/2009

【IT】Augmented Reality

最近、「AR=Augmented Reality、拡張現実」という言葉が気になる。

ネット上の情報と現実世界とを融合させる技術やアプリケーションのことを言う。iPhoneのセカイカメラなどのアプリケーションがよく例に出されるが、非常に興味深い技術だ。
セカイカメラはDLはしてあるがまだちゃんと使ってはいない。おそらく実用化されてくるのはまだまだ先のことになると思うが、ケータイの次のキラー・アプリケーションになるのではとも思える。また、自動車などにも応用できると思う。

そもそもまだARというものをよく理解できていないので、これから本などで学んでみよう。

10/28/2009

【NEWS】マネックス証券とオリックス証券が合併へ

[ネット証券合併]マネックスとオリックス証券 業界2位に---livedoorニュース

2日連続で金融業界の再編ニュース。昨日の住信・中央三井の経営統合も、将来的には合併して「中央三井信託銀行」となるらしいが、こちらは来年5月に合併だ。

自分の周りの学生には「経営統合」のニュースでも「合併」として認識する人が多い。外から見たら同じようなものだが、中身は全く異なる。

(経営統合も合併も経験したことのない、というかまだ学生の自分の認識では、)2世帯住宅に2世帯がそれぞれ住むか、ひとつ屋根の下に2世帯がルームシェアで同居するか、という違いを想定している。
(社)外から見たら一つの家(企業)だが、住ん(働い)ている人にとっては全く別のものだろう。

【書評】若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来



およそ3年前に流行った本書を読んでみた。この本が売れた大きな要因の一つはタイトルのセンスだと思うが、内容は「年功序列制度の限界」だ。

中高年が自分の既得権を守るために、これから雇用される若者の未来を踏み潰しているというのは初めて耳にすることではない。本書では年功序列制度を頑なに守り続けることを悪とし、若者の感情に訴えている側面も見受けられるが、中高年が既得権を守ることは自身の経済合理性から言って「当たり前」だ。
問題は中高年が既得権を守ることによって生産性を失ったゾンビ企業が政府支援などによって延命されることによって、外からも既得権が保護されてしまうことにあると思う。

10/27/2009

【政治】開店休業状態の国家戦略室

JALの支援機構活用を決定する立場にない=菅国家戦略相

新政権の目玉の一つであった「国家戦略局(室)」が開店休業状態だ。JAL問題は前原国交相、予算は藤井財務相、郵政は亀井金融・郵政担当相、外交は鳩山総理で出る幕がない。

形骸化していたと批判される(民主党自身も批判する)、自民党時代の経済財政諮問会議よりも影が薄い。JAL・郵政・外交はともかく、予算策定の舵取りを担っていないからもはや存在意義がない。そもそも、実務的な役割分担がはっきりされていなければ、政権にも「名ばかり管理職」が出来るのだ。

【NEWS】住信・中央三井が統合・信託トップへ

住友信託・中央三井が統合 11年春めど、信託トップに---NIKKEI NET

久々に驚くニュースだ。住信と中央三井が経営統合して、三菱UFJ信託を抜く国内最大手の「メガ信託」が誕生する見通しになった。素直に思うのが、「三井」と「住友」の親密さだ。
これで、銀行も損保も信託も「三井住友~~」となる。さらに、三井住友FGは日興コーディアル証券と日興シティグループ証券の一部を買収、三井住友海上グループホールディングスはあいおい損保・ニッセイ同和と経営統合と、ここ最近の金融再編の主体になっている。

どの報道でも「規模拡大で経営基盤を強化」という文言が使われる。だが、一端「規模」求めてに三井と住友がくっついたら、その後は後戻りできずに規模を追求せざるを得なくなっているようにも思える。

残りは生保か、という話も聞こえてきそうだが、住友生命は相互会社で三井生命は株式会社なので直ぐに統合とはならないだろう。ただ、住友生命が「株式会社化、と同時に三井と統合」なんてことはあり得ない話ではない。日本生命が「しばらくは相互会社」という姿勢なのに対し、住友生命・明治安田生命は「選択肢としてあり得る」としている。

【書評】老いてゆくアジア



タイトルだけで衝動買いしてしまったが、内容は目から鱗だった。

アジア、特に東アジアがこれから高成長するのは間違いない。しかし人口構成から考察してみると、東アジアの国々はかつて日本も経験した「人口ボーナス期」にあるということが成長の大きな要因になっている。この人口ボーナス期が永久に続くことはあり得ず、いずれ高齢化の進展によって国内貯蓄率が低下し、高水準の成長は困難になる。

本書が秀逸なのは、「生産性」の観点から中国やASEAN4(タイ・インドネシア・マレーシア・フィリピン)の高齢化に警鐘をならしている点である。これらの国では中高年の生産性が低く、人口ボーナス期が終わりに近づき生産性を上昇させることで成長を維持すべきときに、中高年の生産性の低さが足枷になる可能性があるのだ。

著者は最後に、

高齢社会そのものは「問題」ではない。高齢社会は長寿を可能にした社会であり、それ自体は繁栄の賜物である。「問題」は今後急速に増えていく高齢者に対して、安心して暮らせる社会を確立できるかどうかが不透明なことにある。

と述べている。これは、日本固有の問題ではなく、アジア全体の問題なのだ。

10/24/2009

【書評】反貧困―「すべり台社会」からの脱出



この本を読むまで、貧困問題の敵は「自己責任論」だと思っていた。何もかも「自己責任」で片付けられてしまうことが、貧困問題の本質を見えなくしてしまっているのではないか、と。だが、本当の敵は「無関心」だったことが本書を通じて理解できた。

一人でも多くの人に、貧困への無関心から抜け出してもらうために、この本はある。また、貧困は自己責任ではない。逆に言えば、充実した生活は自分ひとりの力のみによって築かれたものでもない。

貧困は日本にも存在する。にもかかわらず、日本社会の問題であるというコンセンサスがないのは実体が明確に把握されず、安易な自己責任論によって見えなくされてしまっているからだ。

まずは貧困問題をスタートさせること、そして「何が問題なのか」を真剣に議論することが必要だ。真の原因が分かれば解決策自体は二の次なのだ。

【経済】続・2011年新卒採用

明日(日付としては今日)、説明会の手伝いに行ってくる。話をする相手はまだ就職活動をスタートさせたばかりの後輩学生なので、先輩として有意義なアドバイスをしてあげたい。

少し、何を話そうか考えてみて思い至ったことは「その企業が何をしているのか」をシンプルに考えること、だった。就職活動はどうしても営業・企画・開発・マーケティング・運用など、「自分がどう働くか」を考えがちだが、もっと大局的に企業がしているビジネスを考えてみることが必要だと思う。
生保なら「契約者から保険料を集めて、運用し、配当金・保険金をお返しする」という具合に考えてみて、そのビジネスを自分がしたいかをマッチングさせてみる。そうすれば、何を学ばなければいけないかも見えてくるし、見えなかった仕事も自分で思いつくだろう。

就職活動をしている当事者になると、本当に細かいことを気にしてしまう。SPI、エントリシートの細かい文言、面接での礼儀作法、服装などを気にしてしまいがちだが、本当はそのような細かいことは関係ないだろう。自分も「御社」とか慣れない言葉は全く使わなかった。

無責任に聞こえるかもしれないが、「楽しむ」ことも大切だと思う。説明会などで隣の学生に話しかけるとか、知らない人と話すことが就職活動そのものなのだから、人と話すことを楽しめる人にいい結果が回ってくるのだろう。

10/23/2009

【経済】2011年新卒採用

今週と来週の土日で、内定先企業のセミナーに内定者として手伝いに行くことになった。現在大学3年(院1年)の人たちに自分の経験などを話して、質問に答えるといった感じだ。

人事部の人の話によると、今年の就職活動は「過熱気味」らしい。いわゆるリーマン・ショックは去年の9月15日で、そこから景気が悪くなり、底を打ったと言われてもまだまだ水準自体は低く、失業率は過去最高、有効求人倍率は過去最低。こんな状況の中での就職活動に対して焦らない人はよほどニュースを見ていないか、ただのオプティミストだろう。ただ、一番焦る要因になるのは周りの友人の「就活やってる」姿だと思うが。

こういう状況の中で、就活生が聞きたいことは「どんな企業に入るべきか」よりも「どうやって内定を得るか」なのかもしれない。その答えは「面接時の笑顔」くらいしか思い浮かばないが、それよりもまず「焦らなくていい」ことから説明してあげたい。

10/22/2009

【書評】電波利権



電波利権というタイトルなので、政府・テレビ局・新聞社の「談合システム」的なことが暴かれると思ったが、中身は「電波の仕組みとそれに関わる利権」とった内容で中盤は電波の仕組みの話がほとんどである。

そもそも、今やテレビ局の既得権を追及することに意味がなくなっているのかもしれない。本書が執筆されたのは4年前の2005年だが、
執筆時点の技術レベルに対して、インターネットに関しては飛躍的に向上しているが、テレビの進歩は亀のようにのろい。
テレビ局が既得権を守ろうとしている間に、自由なIPの世界に人々の関心が移ってきたら、テレビ局はコンテンツプロバイダーとしてしか生きてゆけなくなる。本書ではテレビ局のコンテンツ制作能力に関して一定の評価を与えているが、公約数を掛け合わせたような大衆迎合的な番組を作るしかないテレビ局のコンテンツはIP時代にも価値があるのだろうか。個人的には見ていて価値があると思える番組は非常に数が少なくなってきている。

10/21/2009

【経営】小売業の新陳代謝


昨日のガイアの夜明けのテーマは「格安の激震 第2波 ~百貨店・スーパー大転換~」だった。百貨店・GMSの苦境は様々なメディアを通じて伝えられているが、いまやどんな業態でも価格競争が激化している。つまり、水に顔を沈めて何分耐えられるかのチキンレースになっていると感じていた。

昨日の番組の中で、ドン・キホーテが買収した長崎屋に送り込んだ副社長は「綺麗に陳列すればするほど高く見える。雑に積めば積むほど安く見える」と語っていた。なるほど、安くした商品を顧客に見せ、手にとってもらい、買ってもらう道筋までしっかり考えているなと感じた。また、ドン・キホーテでは売り場を売り場と言わず「買い場」と呼ぶそうだ。

ユニクロのファースト・リテイリングCEOの柳井正氏も「安いだけでは売れない」と言っていたが、このように価格を下げつつ、さらにその先まで考えられる企業が新陳代謝を促すのかもしれない。

10/20/2009

【書評】生命保険のカラクリ



本書はライフネット生命の副社長である岩瀬大輔氏による「業界に染まる前の新鮮な感覚で執筆した生命保険入門」だが、結論としては「かしこい消費者は割安な保険(≒ライフネット生命の保険)に入るべき」となる。著者の立場からすれば当然といえば当然だが、既存の生保を徹底的に批判しているかと言えばそうでもないので隔靴掻痒の感もあり、うがった見方をすれば本書こそ「消費者を煙に巻いている」とも言える。

さらに、「ネット生保にデメリットが一切ないとは言えない」と言いつつも、その理由は「対面販売にも価値がある」という既存生保のメリットになっているので、これがまたもどかしい。カラクリの本なので、記する必要もないかもしれないが、メリット・デメリットを分かりやすく比較してくれた方がもっと良くなる。

【Mobile】iPhoneに詰まっているもの


iPhoneを使って1年3ヶ月ほど経った。最近は電車の中などで使っている人を良く見る(一部はiPod touchかもしれないが)。ニンテンドーDSやPSPをやっている人よりも多い気がする。DSやPSPは電車の中でしか見ないし(駅のホームや歩きながらやっている人はほとんどいない)、そもそも両手じゃないと出来ないから比較するのもおかしいが。
そして、使用しているほとんどがビジネスマンやOLだ。高校生で使っている人はほとんど見ない。スケジュール管理や情報収集に便利な反面、モバゲータウンなどのケータイサイトが見れないことや絵文字を使ったメールが不便なことがその理由の一つだろう。

自分のiPhoneにはアプリケーションによって様々な機能が詰まっている。スケジュールは「さいすけ」でGoogleカレンダーと同期しているので、今は手帳を持ち歩いていない。知らない場所を歩いて迷ったには、「マップ」とGPSでどこへでも行ける。情報収集も「Byline」でGoogleリーダーと同期しているので、スキマ時間にも簡単に出来る。PCに来るメールも「Gmail」を閲覧できるので、電波さえあればいつでもどこでも確認できる。勉強するときには見やすい時計「Night Stand」を前に置いている。天気は「weathernews」で確認。amazonのサイトもiPhone用に最適化されているから、本屋ではamazonのほしい物リストを見ながら本を探している。そして、外では常に「iPod」で音楽を聴いている。

自分にとってAndroidの無い生活は可能だったが、iPhoneの無い生活は不可能だ。月々の料金は高いが、十分楽しませてもらっている。

10/19/2009

【IT】WindowsとMicrosoft


まもなくWindows7が発売される。予約もしてなければ、特に買う予定もない。次にPCを買うときは7にするだろうけど、そもそもOSに大きな期待をしなくなっている。メールはGmail、スケジュールはGoogleカレンダー、情報収集はGoogleリーダー、マインドマップはmind42などなど、Googleを中心に様々なWebサービスの恩恵を受けていると、OSのバージョンはもはや何でもよいのだ。

ただ、Microsoftは個人的には思い入れのある企業だ。就職活動を通じて何人かの社員の方とお話したが、リテール営業の部長が言っていた言葉が忘れられない。

私は世の中には2種類の人間がいると思っている。大きな企業で働くことに喜びを感じる人と、企業を大きくすることに喜びを感じる人。どちらがいいという訳ではないが、現在のこの会社(MIcrosoft日本法人)には後者の人がもっと必要だと思う。

この言葉を聞いたとき、いまの自分は前者だなと素直に感じた。そして、MicrosoftやHewllet-Packard、Appleなど外資系の社員の人たちは日系企業の人よりも会社のことが好きだと感じた。逆説的だが、終身雇用や年功序列がない外資系の方が社員は会社を好きになり、その会社に独特の個性・文化が生まれるのだ。もちろん、サンプル数が少なすぎるし一概には言えないが、日本経済は雇用をもっと流動化した方がいいのは間違いない。

10/18/2009

【書評】希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学



著者のブログによれば、学生街や大学生協などでこの本は売れているらしい。そこで買った人々と自分は同世代で、もの心ついた頃から平成不況なのでバブルを体感したことはない。日経新聞では「低温世代の経済学」というタイトルで特集連載が組まれていたりした。

本書では、日本経済に流れる通説についての誤解が解かれている。そして安易に「新興国開拓」と言わずに、「労働生産性の上昇率が低下」「労働市場の硬直化」にスポットライトを当てている所が秀逸だ。

最近は経済学の本を読むことが多いが、経済学は非常に難しい。下人と結果が混同することもしばしばだが、だからこそ面白い。

【映画】私の中のあなた


2週連続で映画を観た。今回は「私の中のあなた」だが、観終わってもタイトルと内容が自分の中で噛み合わなかった。台詞として出てくる訳でもなかったので。でも、家に帰って画像を探していたらその理由が分かった。日本では「私の中のあなた」というタイトルだが、英語版では「my sister's keeper」となっているのだ。これを直訳すれば「私の姉を守る人」となる。おそらく、映画を観る前に変な先入観を与えないために、わざとこういう日本語のタイトルにしたのだろう。このような訳は洋画ではよくあることなのだろうか。

映画の中身の方は、回想シーンを中心に構成されているので新鮮だった。感動を呼ぶ奇跡が起こるわけでもないのだが、その方がリアルで色々感じさせられる。



10/15/2009

【経済】国家戦略室メンバーに湯浅誠氏

戦略室に「派遣村」の湯浅氏起用へ---NIKKEI NET

国家戦略室のメンバーに「年越し派遣村」を開設した湯浅誠氏を起用する方針になった。湯浅氏の提言などを受けた政府がどんな政策を打ち出すかが一番重要だが、そういえば湯浅氏の著書を読んだことはなかったので、今度読んでみたい。

「貧困」という状況に自分は生まれてから24年間陥ったことがない。しかし、貧困や格差について考えるときには「かわいそう」とは思わないことにしている。テレビ・新聞がいくら「派遣切り」「派遣村」を報道しても問題が解決しないように、起きた現象に感想を述べても何も解決しないからだ。
つまり、現象を知り、現象を生み出した構造を理解し、解決策を考えることが重要なのだ。つい解決策を考えることを先走ってしまうが、それだと「経済成長(景気回復)しかない」という短絡的な話になってしまう。もちろん、経済成長も必要なのだろうけど「成長は全ての矛盾を隠す」ので、もっと本質的な構造問題を考えなければならない。

話は変わるが、「成長は全ての矛盾を隠す」というのはダイエー創業者の故・中内功氏の「売上は全てを癒す」と同義だろう。この言葉の裏にある意味を真剣に考えなくてはならない。

10/14/2009

【経営】週末農業は続くのか

最近、メディアで農業が取り上げられることが多くなった。そのほとんどが農地レンタルや週末だけ畑に行く、などの「今まで農業に関わってこなかった人でも手軽に農業が出来るようになった」というような、農業へのハードルが下がってますよ、という打ち出し方だ。

正直、「これ、続くのかな?」と思う。続く人と続かない人がいるだろうが、一過性のブームである気がしてならない。

9月の連休に長野の親戚の家にお邪魔したが、そこでも畑を持っていて農業をやっていた。そこで感じた「週末農業」との圧倒的な違いは、もはや農業が生活の一部であり切っても切り離せない存在になっているということだ。逆説的だが、ずっと農業をやっている人々のほうが「農業をやっている」とは考えておらず、習慣であり日課であり無意識なのだ。

自分は農業には全く無知だが、傍から見ても「継続」が一番重要だと感じる。週末農業は継続できるのだろうか。

【書評】ウェブは資本主義を超える 「池田信夫ブログ」集成



著者の新刊「希望を捨てる勇気」を購入したので、少し前に購入していた本書を読んでおいた。Googleやクラウド・コンピューティング・Web2.0などの本を買い漁っていたときに購入したのだが、タイトルに惹かれずに読まないままで放置していた。こういう大それたタイトルの本は大抵、ネット礼賛で終わるだろうと思っていたので遠ざけていたのだ。
しかし、読み終わってみてもっと早くから読めばよかったと感じた。いわゆるリバタリアンの著者の主張は、バックグラウンドがないこともあり一貫していて明快だ。中でも秀逸なのは、情報通信産業では需要や技術革新が不確実であるため、有望な事業を損なうリスクを軽視してはならない、という点だ。製造業のような品質管理による不良品リスク低減よりも、様々な事業に分散投資することで将来大きく成長する芽を奪うリスクをなくすべきだと説く。

行動経済学でも実証されているように、人間は「手に入ったかもしれない利得」には極めて鈍感であり、目の前の損失を回避しようとする。しかし、「何が成功するかは分からない」という前提を自明とすれば、後は分散投資で損失回避性を堪えるだけである。

10/13/2009

【政治・行政】日本の航空行政

成田空港を即刻廃止せよ---堀江貴文オフィシャルブログ

メディアでは毎日のように日本航空(JAL)の経営再建問題が取り上げられている。それに付随して、日本の航空行政も俎上に上がるのだが、個人的にはJAL単体の年金や労使問題よりも、航空も含めた日本の交通行政を議論すべきだと思う。

交通機関は主に業種別に3つに分けられる。その3つとも議論すべきことが多い。
●航空・・・羽田の拡張、それに伴う成田の役割、関空の立ち位置、造りすぎたと言われる地方空港
●道路・・・高速道路の無料化、首都圏の3環状道路の整備、タクシー規制
●鉄道・・・リニア新幹線
厄介なのは、この3つ(海運も入れれば4つ)が複雑に絡みあっているということだ。アッチを立てればコッチが立たず、レガシーコストは膨らみ、結局ニワトリタマゴの話になってしまう。
最終的にどんな結論をだすにせよ、それが一人(企業、地域)ひとりにとっても最適な結論であることは不可能なのだ。結論が全体最適であるためには、その結論に至るまでの経緯の透明化や説明責任が重要になる。

【IT】ストックとフロー

最近、情報に対してはストックとフローという考え方を用いている。
RSSリーダーで読むニュースサイトやブログ、新聞・テレビなどを基本的にフローとして扱い、基本的に処理を後回しにはしない。
しかし、ただ受け流すだけでは無意味なので、より深く考えたいことについては、ストックとしてRSSリーダーの中でチェックしたり、本を読んだり、こうして自分のブログで見解を書くようにしている。

ポイントは「何をフローからストックに格上げするか」であるが、明確な線引きは全くなく直感に頼っている。以前、伊藤洋一氏がPodcastの中で「新聞記事は自分の専門でない、知らない記事を読むことに意味がある」と言っていたが、なるべく知らなかったことをどんどん吸収していきたいと思っている。

10/12/2009

【経済】責任の重さ

最近、何かの問題につけて「責任」という言葉が目につくようになった。

●金融危機ではサブプライムローンが証券化を繰り返され、投資家に転売されたことによって、「責任」の所在があいまいになった。

●(少し古いが)「納豆ダイエット捏造」問題は、民放番組はテレビ局から下請け・孫請け・曾孫請けと多段階に細分化されて制作されるため、「責任」が分散していた。
●学校の教師から子供の万引きを捕まえた小売店に理不尽なクレームをつける無「責任」なモンスターペアレントが急増している。

など、責任の所在のあいまいさや責任感の欠如なども一因となった問題だろう。責任の所在は基本的に明確にすべきだ。しかしモンスターペアレントの問題で、例えば「子供のしつけは親、学力は先生」などと責任の所在を明確にすればどんなことが起きるかは書くまでもないだろう。つまり、
責任の所在を明確にすることと、自分の責任の範囲を限定することでその他に関しては他人に押し付けることは表裏一体である

また、花王に救われた消費者庁と消費者委員会ー松永和紀blogというエントリーでも指摘されている日本人の「ゼロリスク志向」(無謬信仰)がこの問題を助長している。なにか問題が起こり、責任が追及される際に「完璧でなければならない」という感情的スタンスで責任を追及しようとすると、かえって本質を見誤ってしまう恐れがある。
少し前のBSE問題でも、科学的にリスクは日本人の人口に対して0.1~0.9人とされていたのに「リスクがゼロではない」という理由で農水省は輸入禁止措置をとった。

基本的に、責任の所在はハッキリしていて、各人も責任感は強い方がいい。しかし、責任の所在を明確にすることの副作用や、感情的に「ゼロリスク志向」に陥る危険性も、「責任」問題では十分考慮されるべきなのだ。

10/11/2009

【書評】金融大統合時代のリテール戦略―銀行・証券・生保・カードがひとつになる



父から著者の講演の資料を見せてもらったので、理解を深めるために読んでみた。著者は日銀出身なので本書でも「銀行」からの視点が貫かれている。そのため、欧米の銀行に関する知識は豊富だ。

いま日本の銀行、主に3メガバンクのリテールは岐路に立たされていると感じる。規制緩和が進み、投信・保険が販売出来るようになった後は、顧客(富裕層)の奪い合いになる。これは、端末に対する新しいキラーアプリケーションがなくなり、普及台数も頭打ちになって顧客を奪い合っている携帯電話業界と相似している感がある。携帯業界はただ純増数を増やすことが至上命題になってしまい泥仕合になっているが、銀行業界も泥仕合にならないためには、著者が言う「カスタマーパフォーマンス」を争うようにならなければならないだろう。

【書評】「渋滞」の先頭は何をしているのか?



昨日は、藤沢~青葉台~有楽町~六本木~横浜~藤沢と車で走ったが所々で渋滞に遭った。その度に思い出すのが本書で、なぜ渋滞が発生するのかといったメカニズムや、渋滞解消のための提言をまとめている。また、交通以外での「渋滞」現象についても述べられているが、渋滞を「避ける」ような小手先のテクニックなどは述べられていない。

著者は渋滞学というそのままのタイトルの本も執筆しているが、目次や出版年月を見る限り内容の重複が多そうなので、最初から上記の親書で十分理解できる。

渋滞学という新しい学問を提言する著者は、分野横断的な研究の重要性をあとがきで指摘している。これは非常に同感だ。知的好奇心に関しては、選択と集中はすべきではないと思う。

10/10/2009

【映画】引き出しの中のラブレター


引き出しの中のラブレターを観てきた。今日が公開初日で、キャストの舞台挨拶のチケットがたまたま手に入ったので、朝10時に有楽町へ。

映画は、心温まるストーリーでとてもよかった。「ラブレターの宛て先の人がラジオを聴いてなかったら意味がないのでは?」というシーンがあったが、自分は赤の他人の赤の他人へのラブレターでもラジオを聴く人には何も与えないとは思わなかった。というか、そう思いたいだけだが、これが「ラジオの不思議な力」なのだろう。

映画は誘われたら行く、くらいで自分からあまり映画館に足を運ぶタイプではないのだが、映画は好きな方だ。DVDなどもあまり観ないのだが、その理由は自分の中で3時間近く時間をとられると感じると気が進まないだけなのだろう。「月に何本観る」とか決めて、必ず観るようにすれば、自分のスコープも広がるだろう。

【NEWS】ノーベル平和賞はオバマ大統領に

ノーベル平和賞にオバマ大統領・・・Reuters

2009年のノーベル平和賞が米国のオバマ大統領に授与されることが決まったが、このニュースを見たときは少し笑ってしまった。ノーベル平和賞が少し陳腐なものになってしまったな、と思ったからだ。

オバマ大統領は「ノーベル平和賞を受賞しなくても」核軍縮に取り組んでいることは誰もが知っているのだ。実際に自分も何度も「核なき世界」という言葉を目にした。だからこそ、あえてノーベル平和賞を授与する必要を感じない。世界的には全く無名の人の活動、もしくは著名人でも「実は」こんなことに取り組んできた(ゴア元米副大統領のように)という
人、などに与えて欲しいと思う。ノーベル賞はオリンピックの金メダルのように、一番の記録を出した人に自動的に与えるものではないのだから。

【経営】選択と集中は正しいのか

「選択と集中」という言葉がもてはやされているが、この現状にかなり違和感を感じる。確かに、何でもかんでも闇雲に手を出すべきではないし、経営資源を集中させて差別化を測ることはマーケティング戦略上も有効だろう。しかし、「柔軟性」を失ってはならないと思う。「変化への対応」と言えばまた巷でよく聞く言葉なので使いたくないが、何かにフォーカスするということは何かを捨てることと同義だが、環境が変化した場合にはフォーカスした事業でさえも捨てられる覚悟をしておくことが必要だと感じる。

そもそも、企業活動の何を「選択と集中」するのかが大切だ。事業そのものなのか、地域なのか、顧客ターゲット(年齢層・性別・趣味・職業・・・)なのかなど、選べるオプションは非常に数多い。その企業によって、その時の環境によって、最適解は変わる。いろんなケースを見ながら、これからも何が最適なのかを自分なりに考えてみたい。

そういえば、リサ・パートナーズの社長:井無田敦氏は「選択と分散」を掲げ、自分たちはあえてリスクを分散させていると語っていた。安易な「選択と集中」は結果として自らの首を絞めることになりかねない。