10/24/2009
【書評】反貧困―「すべり台社会」からの脱出
この本を読むまで、貧困問題の敵は「自己責任論」だと思っていた。何もかも「自己責任」で片付けられてしまうことが、貧困問題の本質を見えなくしてしまっているのではないか、と。だが、本当の敵は「無関心」だったことが本書を通じて理解できた。
一人でも多くの人に、貧困への無関心から抜け出してもらうために、この本はある。また、貧困は自己責任ではない。逆に言えば、充実した生活は自分ひとりの力のみによって築かれたものでもない。
貧困は日本にも存在する。にもかかわらず、日本社会の問題であるというコンセンサスがないのは実体が明確に把握されず、安易な自己責任論によって見えなくされてしまっているからだ。
まずは貧困問題をスタートさせること、そして「何が問題なのか」を真剣に議論することが必要だ。真の原因が分かれば解決策自体は二の次なのだ。