現在のテーマは「ICT投資を伴った商品開発競争」であり、ICTの技術革新がもたらす企業の商品数への影響を考察している。
ロングテールという概念が流行したように、ICTによって多品種少量生産が容易になった。しかし、消費者にとっては、あまりにも商品が増えすぎると「混乱」が生じてしまう。そこで企業は「自社ブランド内の商品」の中での混乱を解消するためのICT投資(ブランド内効果の解消)と、「他社ブランドの商品」との混乱を解消するためのICT投資(ブランド間効果の解消)をする。前者は自社サイトへの検索エンジンの導入、後者はSNS・Google Adsenseの適用などである。
このコストをモデル化し、ホテリングモデルと合わせ、パラメータを比較静学する。
すると、ブランド「内」効果解消のためのICT投資のコストが技術革新にとって下がることは(当然と言えば当然だが)コスト優位性のある企業をより比較優位にする。強い企業が商品数を拡大し、弱い企業は商品数を絞らざるを得ないということである。
しかし一方で、ブランド「間」効果解消のためのICT投資のコスト低下は、コスト優位な企業は商品数を絞る誘因になる。つまり、ブランド「内」効果解消のためのICT投資コスト低下と逆方向に働く。
このようなモデルを研究しているが、現時点ではまだ土台を作った程度でこれから年末にかけてじっくり詰めていく予定である。