10/22/2009

【書評】電波利権



電波利権というタイトルなので、政府・テレビ局・新聞社の「談合システム」的なことが暴かれると思ったが、中身は「電波の仕組みとそれに関わる利権」とった内容で中盤は電波の仕組みの話がほとんどである。

そもそも、今やテレビ局の既得権を追及することに意味がなくなっているのかもしれない。本書が執筆されたのは4年前の2005年だが、
執筆時点の技術レベルに対して、インターネットに関しては飛躍的に向上しているが、テレビの進歩は亀のようにのろい。
テレビ局が既得権を守ろうとしている間に、自由なIPの世界に人々の関心が移ってきたら、テレビ局はコンテンツプロバイダーとしてしか生きてゆけなくなる。本書ではテレビ局のコンテンツ制作能力に関して一定の評価を与えているが、公約数を掛け合わせたような大衆迎合的な番組を作るしかないテレビ局のコンテンツはIP時代にも価値があるのだろうか。個人的には見ていて価値があると思える番組は非常に数が少なくなってきている。