今日の卒論の中間(初期?)発表で、友人の論文の今後の方向性としてターゲティング広告の話が出てきた。就職活動の合同説明会などを例にして、「学生」「企業」「イベント会社」の3プレーヤーをモデル化して分析していこうというものだ。
そこで前提となる話が、「企業」はなるべく自分の会社に興味を持ってくれる学生に対して広告を出したい。「学生」も自分が興味のある企業の情報を知りたい。つまり効率的にマッチングしたい、ということである。一見、その通りの話である。しかし、実情はそんなにシンプルではないのかもしれない。
企業は、新卒学生の採用活動において「他の業界に興味を持っている学生にも、自分の会社に対して興味を持ってほしい」と考えている。実際、自分が内定している企業(生保)でも、「生保に興味を持っている学生」だけでなはく「金融に興味を持っている学生」、さらには「金融に興味を持っている学生」だけでなく「金融以外の様々な業界に興味を持っている学生」をいかに取り込むか、これが合同説明会などを行う採用活動初期(10~12月)のテーマだと言っていた。
一方で、こう考えていない企業も多いと思う。「まずは自分の企業の存在を知ってもらいたい。」「その上でエントリーしてもらうには、もともと自分のいる業界に興味を持っている学生にアプローチしたい」といった企業も多いであろう。
学生にもともと知られている有名な企業と、学生にあまり知られていない企業の目的は異なっているのだ。就職難のニュースが報道されるときも、中小企業にはチャンスと言われるのもこのためである。
学生側から考えてみても、おそらく「自分が興味のある業界しか知りたくない」という学生は非常に少数だと思われる。合同説明会にセレンディピティを求める学生は非常に多い。当然、自分の興味のある業界の情報を知りたいと思わない学生はいないが。学生のニーズも様々なのだ。
また、就職「難」という傾向についても考えてみたい。
就職「難」だから、企業は採用を絞る。合同説明会に出展する企業も減る。そのため、イベント会社も収益が低下すると考えられる。
しかし、就職「難」になると、学生はエントリーする業界を広げようとする。つまり、様々な企業の情報を得ようとする。これはイベント会社にとってはプラスに働くのではないか。イベントに参加する企業が減っても、「優秀な人材をとりたい」中小企業からしっかり収益を上げることができれば、イベント会社にとって就職「難」は収益を低下させるだけの要因にはならない。