10/04/2009
【書評】ものつくり敗戦―「匠の呪縛」が日本を衰退させる
日本が世界に誇る「ものつくり」。しかし、「ものつくり神話」にすがってはならない。筆者は戦争での敗戦に重ねて、日本の「ものつくり」に警鐘を鳴らす。
家庭にも企業にも都市にも田舎にも至るところにものがあふれている現在、人々が求めているのは「モノ」ではなく「モノ」を使ったことによって得られる様々の「コト」である。
「アップルはiPodを売っているのではなく、ライフスタイルを売っている」とよく言われるが、品質を上げることや価格を安くすることはあくまでも供給サイドの話であって、消費者からしてみたらどうでもいいことなのかもしれない。
以前、ニュースで西友が不振の衣料品をテコ入れするために20代前後の女性向けに新商品を開発したという話があったが、直感的に「これは売れないな」と思った。品質が素晴らしく。、低価格な製品を開発したと思っているのかもしれない(確かインタビューでは50代くらいの男性の幹部が戦略を話していた)が、20代前後の女性が西友で外に着ていく衣料品を買うだろうか。「これどこで買ったの?」と聞かれて「西友」と答えたい人がいるのだろうか。西友はむしろ、衣料品をどうしてもテコ入れしたいのなら、部屋で着るような服に特化すべきだろう。