「法令順守」はあくまでも手段であって、法令を守ることが目的ではない。当然、だからと言って法令を破っても構わないとはならないが、大切なのは法令の背後に必ずある「社会的な要請」を理解し、それに応えることだ。JR福知山線の脱線事故の際の病院の対応(被害者の安否を知るために病院に電話した家族に対して「個人情報」として病院側が安否を伝えなかった)などは、法令を順守していても社会的な要請には応えきれていない典型例だ。
また、ラーメン屋vs.マクドナルド―エコノミストが読み解く日米の深層の著者:竹中正治氏も指摘していたように、日本人には「無謬信仰」とも言うべき「完全無欠でなければダメと」いう風潮があるようだ。その風潮が問題の発覚を遅れさせる場合もあるだろう。
上記2つの著書とも「失敗学」の創始者、畑村洋太郎氏の考え方を汲んでいる。失敗学のすすめは数年前に読んだが、改めて読んでみようと思う。
また、両書ともマスメディアの姿勢を程度の差こそあれど批判している。マスメディアが日本の悪い風潮を助長している、という姿勢だ。当然、このような視点はマスメディアを一歩引いて客観的に見なければ生まれない。マスメディア・インターネット・文献・口コミなど、様々な情報源を駆使して、自分も深い洞察力を身につけていきたい。