自分はとある外食産業のとある店でアルバイトをしている。しかし、はっきり言って業務の効率性はかなり低いと思う。例えば、食材の発注。夜中の12時半(営業終了は12時)までにPCで発注をすれば、翌日の14時頃までに届く。営業開始は平日17時、土日祝でも16時である。これを毎日やっている。つまり、極端に言えば「次の日に出る分だけ」発注していけばいいのだ。もちろん、機会損失をなくすためにある程度多めに発注するのだが、それにしても食材を保管する冷蔵庫・冷凍庫ともに食材で溢れていて、夜中の12時頃でも冷凍庫の奥は全然見えない。この現象について少し考えてみる。
現象「食材の在庫が多すぎる」の原因として考えられるのが「発注量が過剰であること」、そしてこの原因は「機会損失を必要以上に恐れていること」だ。発注量を決めるときに「機会損失は嫌だし、在庫もある程度はもつから多めに発注しよう」という気持ちが発生するのだ。そして、「機会損失をなくす」ことが目的になり、「在庫を多めに置くこと」が正当化されている。発注経験者として、「機会損失をなくしたい」気持ちは分かる(客の立場で考えても、注文した料理が「ない」「ない」では二度とその店に足を運ばないだろう)が、それにしても在庫が多すぎる。毎日発注できるのだから、営業が終わった後に食材が溢れているのはやはり異常だ。では、どうしたらいいのだろうか?そもそも適正な在庫とはどれほどなのだろうか?
適正な在庫は食材ごとに違うだろうから一概には言えないが、自分はまず「機会損失」を測ること、そして「賞味・消費期限切れ」などで商品にならなかった過剰発注によるロス、また在庫回転日数を測るべきだと思う。というか、これをやっていないから業務の効率性が低い。
機会損失は現状では在庫が過剰のためほとんど生じていないが、過剰発注ロスは現状でもかなり起きている。賞味・消費期限切れ以外を測ることは今すぐにも可能だ。しかし、実は見えないロスとして「在庫がたくさんあるから、大丈夫」という従業員の甘えによるロスもかなりある。サランラップの在庫がたくさんあったら、ラップ1cmを節約しなくなってしまうだろう。これが効率性を下げている。一つひとつは小さな「まぁ、いいや」でも、月間・年間で考えれば大きなコストだ。しかし、在庫を適正に保ち、従業員も水道の流しっぱなしなど「小さな節約」にこだわれば、効率性は必ず向上する。
「神は細部に宿る、限りなく細部に宿る」のだ。
非常に細かいことにこだわれるか、外食産業に限らず、企業の競争力を決める大きな要因になる。
蛇足だが、就活の面接でデベロッパー業界最大手の三井不動産の社員の方に「社員に共通する思い」を聞いたら「こだわり」と答えてくれた。まさに、数字には表れない競争力であり、三井不動産の業界最大手たる理由の一つだと思う。