11/25/2009

【書評】成功は一日で捨て去れ



読みたい・買いたいと思って、書店に探しにいってもない本も多いが、この本はどんな書店にも平積みされているくらい売れている。逆に、この書評を書いている11月25日現在で、Amazonでは在庫切れになっているくらいだ。

この本を読んでいて感じたことは、柳井氏が今悩んでいることだ。

ユニクロをはじめとするファーストリテイリンググループはこれまで、柳井氏の強烈なリーダーシップで成長してきた。
そして(本人も指摘していたが)これからの更なる成長のためには「後継者」が欠かせない。その周囲の心配を払拭するためか、各章の終わりに付された毎年の新年の挨拶には「社員全員」という言葉が連発する。そして、最後の章は「次世代の経営者へ」と後継者育成への決意を語っている。

また本書のタイトルでもある「成功は一日で捨て去れ」は、もちろんこの本を読む人に対して向けられたメッセージであるが、実は柳井氏が自分自身に対しての戒めという意味も込められているのではないだろうか。

本書の中で一番面白かったのが、柳井氏が「衣料品小売業界の中にはチャンスはないと思っている」と書いていたことだ。
そして、「例えば携帯電話を敵と捉えれば、それよりももっと魅力があって買いたくなるような洋服とはどんな商品なのかを考える」ということだ。敵は同業界内ではなく、他の業界(そもそも業界という括りをする時点でダメなのかもしれないが)と考えることがこれからは全ての企業で求められるのだ。