11/25/2009

【書評】過剰と破壊の経済学 「ムーアの法則」で何が変わるのか?



「半導体の集積度は18ヶ月で2倍になる」というインテル創業者のゴードン・ムーアが1965年に提唱したこの法則、これは現代も続いている。それによるコモディティ化・水平分業化は、IT業界をはじめ様々な企業にとっても避けられないテーマだ。

本書の主題は「ムーアの法則」だが、一番気になったのが「IT業界のマーフィの法則」だ。この法則は失敗するプロジェクトの法則をこう表す。

1:最先端の技術を使い、これまで不可能だった新しい機能を実現する
2:数百の企業の参加するコンソーシアムによって標準化が進められる
3:政府が「研究会」や「推進評議会」をつくり、補助金を出す
4:メディアが派手に取り上げ、「20XX年には市場規模が**兆円になる」などと予測する

これは日本の政府だけでなく、企業内にも内包する問題かもしれない。最初に「役に立たない」とか「不可能だ」と言われたものが、後々に大成功する話はよくあるが、逆に最初の方で「これこそ次世代の技術だ」と騒がれると成功しないのだ。

この法則を眺めていると、この法則があるからこそ世界は面白いと捉えることが出来る。結果論だが、これまでの様々なイノベーションがこれに当てはまらないからこそ、それは後々にイノベーションと呼ばれるのだ。