11/22/2009

【書評】クリック!「指先」が引き寄せるメガ・チャンス



人々の考えていることは、検索窓に打ち込むクエリーに如実に現れるーーー本書では(米国での)様々な事例を用いて、その可能性と限界を示している。

「データは嘘をつかない。ただし、解釈の仕方によってさまざまな落とし穴がある」と著者が言うとおり、問題はデータの内容ではなく解釈の仕方なのだ。「1/2」を「半分しかない」と解釈するか「半分もある」と解釈するかでは、事実は変わらないが理解が異なってくる。

本書での事例はほぼ全て米国で起きたことなので、身近には感じることのない名前ばかりだが、多少は日本人の行動に通じるものもある。年初の4~5日に「ダイエット」に関する検索が多くなるのは、先進国共通だろう。

インターネットを使った調査の最大の強みは「速報性」だ。本書の中でもその速報性を活かせば、経済指標が発表される前に数値を予測することも可能なのではないかと、チャレンジしたりしている。
もちろん、上手くいくこともあれば失敗することもあるのだが、重要なのは「人々の行動がネットでの行動に投影されている」ことだ。

こうしてブログを書いていることも、何かを検索することも、リンクを辿ってサイトを閲覧することも、すべて何らかの「意図」がある。しかもその意図はえてして無意識のなかにある。その無意識こそ、人々が今まさに考えていることを映しているのだ。