11/21/2009

【メディア】TV局の幻影肢シンドローム

昨日、フジテレビの番組「探そう!ニッポン人の忘れもの」をたまたま観た。その中で、70~80年代のテレビ局の報道と現在の報道の違いをやっていた。
印象に残ったのは内容よりも、司会の小倉智昭氏が「インターネットの書き込みなどは匿名でどんどん酷くなっていくが、我々は真実を報道しなくてはならない」と纏めていた場面だ。

この発言はテロップにもなって強調されていたが、今のテレビ業界を「幻影肢シンドローム」を象徴している。
幻影肢シンドロームとは、『戦場で右腕を失った戦士が「右手の中指が痒い」と感じる』という症状で池田信夫氏もブログで記者クラブや興銀などを例に出していたが、小倉氏の発言も同じことだ。

インターネットを敵視してテレビ局の存在意義を正当化したい気持ちは分からなくもない。しかし、それに共感出来るのはテレビ局からの収入で生活する人たちか、ただテレビが大好きな人たちだけだ。



この本の中で著者の中川淳一郎氏は「最強メディアは今も昔もテレビ」だと述べていた。しかし、それはあくまで「低俗的なものに関しては」だと思う。中川氏も「頭の良い人ではなく、普通の人・バカの人の話」と述べていることを考えると、テレビ業界はこれから「低俗的な番組」を出し続けていくしか活路はないのかもしれない。

「真実を報道する」ことをインターネットは出来ない、と思う人はいないだろう。しかし、「低俗的なこと」(何が低俗的で、何がそうではないかの区別は人それぞれだが・・・)を映すのは相変わらずテレビ局に一日の長があるのではないだろうか。