11/07/2009
【書評】非対称情報の経済学―スティグリッツと新しい経済学
標準的な経済学に「情報の非対称性」というエッセンスを加えた場合の需要や価格などの変化を簡潔に示している。無論、情報の非対称性を加味すればしっかり現実を説明出来る、という訳ではない。除法の非対称性であれ他の要素であれ、それを考慮したときにどのように変化しどのような示唆が得られるかが重要なのである。
著者は2002年時点での日本経済を「非効率なナッシュ均衡」状態と指摘している。2003年~2007年までは景気拡大局面であったが、この非効率なナッシュ均衡はほとんど解消されていない。2009年現在、政権交代が起こったが、新政権からは効率性という言葉は聞こえてこないし、これからもテーマになる気配もない。日本に必要なものは、池田信夫氏が言うように「明日はよくなるという希望ではなく、変えなければ明日はないという絶望」なのかもしれない。