12/31/2009

【書評】ネットvs.リアルの衝突―誰がウェブ2.0を制するか



前半はWinny事件、後半はインターネットとデジタル製品に対する2006年時点までの総括と展望。Winny事件については逮捕直後のことが事細かに記述されており、金子勇氏の発言も多いためドキュメンタリーのように書かれている。

著者の佐々木俊尚氏がWinny事件について記した理由はあとがきに書かれていた。

私はかつて金子被告が2ちゃんねるで語った
P2P技術が出てきたことで著作権などの従来の概念が既に崩れはじめている時代に突入している
将来的には今とは別の著作権の概念が必要になると思います。どうせ戻れないのなら押してしまってもいいのかっなって(原文のまま)」
といった発言について、きわめて強い感銘を受けていた。彼の言っていることはまったくもって正しく、、、


つまり、インターネットが出現したことにより、「ネット」と著作権などインターネットがなかった時代の「リアル」が対立しているのだ。

また、本書の後半部分は2006年時点での話なので新鮮味は全くない。しかし、09年の終わりに読むと3年前と現在の比較が出来る。iPodについても書かれているが、ここで佐々木氏は「ポッドキャスティング」と「情報のコンテナー」という要素を強みとして挙げている。
しかし、3年後の現在iPodはiPhoneに進化を遂げ3GやWiFiによりアイチューンズを通じたポッドキャスティングだけでなく、何時でも何処でもネットワーク上からアプリケーションをダウンロードして楽しむことが可能になった。
また、クラウドコンピューティングによりUSBメモリーなどを持ち歩かなくてもネット上にデータを置いて必要なときに利用することが可能になった。

この3年間の変化は2006年時点では誰にも予想出来なかっただろう。逆に言えば、これから3年後には今では想像も出来ない製品やサービスが登場している可能性もあるということだ。