12/17/2009

【書評】ジャーナリズム崩壊



「事なかれ主義」「横並び意識」と、日本の新聞やテレビは様々な産業を批判してきた。しかし、本当は自らが一番「事なかれ主義」「横並び意識」の護送船団方式なのだ。

その象徴が著者が批判する「記者クラブの閉鎖性」である。全国紙の記事が似通っているのは、同じ場所で同じ情報に接していて同じ記事を出すことが日本の記者の仕事なってしまっているのだ。
しかし、記者クラブの存在が悪い訳でも、日本の記者が実力不足な訳でもない。記者クラブが閉鎖的なことによって既得権益化している仕組みが問題なのだ。そのため、フリーランスや雑誌記者・海外メディアは記者クラブの記者と同じスタートラインに立つことすら出来ていないのが現状なのだ。
そして、もちろん「記者クラブ」の話題は新聞・テレビには登場しない。自分で自分の首を締めることになるからだ。

また、「誤報を検証しない」という無謬主義はもはや日本人の国民性とも言えるかもしれないが、「ミスは犯すもの。犯してはならないのは、ミスを隠すこと」という小さい頃に教わったことを日本のメディアはもう一度自覚しなくてはならないと思う。