12/12/2009

【書評】貧困ビジネス



相変わらず、門倉氏の情報収集能力には舌を巻くばかりだ。闇金融・性風俗などのアンダーグラウンド経済を、日本だけでなく海外までどうやって調べているのかを本にして欲しいくらいである。

著書「ワーキングプア いくら働いても報われない時代が来る」でもそうだが、著者はエコノミストなので事実に基づいて冷静に書いている。「こんなにかわいそうな人がいます」とか「どれもこれも政府や大企業の責任です」みたいな感情に訴えるようなことはない。

ただ、逆にエコノミストのレポートの域を超えないので、政策提言などに及ぶと弱い面もある。湯浅誠氏もそうだが、民間企業の中で利益やコストを考えながら働いた経験がない(門倉氏はずっと民間シンクタンクのエコノミスト)と、どうしても勧善懲悪な議論になってしまう気がする。

規制緩和と強化の境目が難しいことは、貸金業法の改正などを見ていれば分かるが、この問題はおそらく「どこまで規制するか」の綱引きでは解決しない。先日のニコニコ生放送で堀江貴文氏も指摘していたが「お金の使い方・借り方」に関する教育が不足していることが、問題の大きな原因になっているのではないだろうか。