12/28/2009

【書評】新聞社―破綻したビジネスモデル



就職活動をしていた2月頃に日経新聞の編集委員の方に
「米国ではトリビューンが破綻し、クリスチャン・サイエンス・モニターが紙媒体の発行を止めるという状況になっていますが、日経新聞としては今後どのような戦略を打ち出しますか?」
と聞いたことがある。
(この質問をしたいがために、日本経済新聞社の説明会を聞きにいった。こういうことが出来たことため、就職活動は本当に有意義だったと思う。)

質問に対する答えは
「記事の質を高めていくとともに、やれることは全部やろうと思っている。」
とのこと。当然、日本と欧米では新聞社の顧客層や収益構造も違うが、この答えからは強い決意とともに新たなビジネスモデルの見つからない焦燥感も感じた。


本書では、毎日新聞社の元常務取締役である河内孝氏が「内側」から見た新聞社のビジネスモデルの限界を説く。
そして部数至上主義・テレビも含めたマスメディアの横並び主義など、もはや自分で自分の首を締めているとも思える事例を示すなかで、河内氏は本が執筆された2007年2月に、

「事件や役所の発表は通信社に任せればいい。その要員とコストを独自の取材にあてたら」というのが私の主張でした。

と記している。その主張は河内氏が在籍する間には通らなかったが2年半後になって、毎日新聞社と共同通信社、共同通信社加盟社による包括提携についてとなった。

メディアにとって、これからどのようなビジネスモデルが成功するのかは全くと言っていいほど分からない。いつも考えているのだが、本当に分からない。将来何が成功するか自分が分かるくらいなら、もはやそれは誰かがやっている過去のものだと思えるくらいだ。
ただ、旧来のメディアの形が今後も残るだけは到底思えない。それは単に自分が必要としなくなってきているだけなのか、メディア自身の自爆なのか、その両方なのか。。。