12/27/2009
【書評】好き嫌いで人事
日本の労働市場の問題点に「硬直化」を挙げる経済学者や評論家が多いが、経営者として著者の松井道夫氏は「人を組織に縛り付ける人事制度で顧客本位の仕事が出来るのか。無理である。」と断言する。
20世紀は組織や供給者論理でもまかり通ったが、21世紀は個人・消費者論理でビジネスをしなければならない。これが本書の中で貫かれている主張だ。
給料をもらって働くのではなく、働いて給料をもらう。
5年計画なんて言うのは、世の中を甘くみている共産主義者の戯言。
結局のところ、人間が真剣に取り組むべき仕事はアーティスト的な「人間心理学の仕事」。
わかるものを捨ててわかならいものを得ようとすることが決断の本質。
これだけ書くと、経営者の著書にありがちな美辞麗句を並べたようにも見えるが、そのような綺麗事はいっさい言わない。ある意味、ウラオモテのない性格なのだと思う。