12/17/2009

【書評】私はこうして受付からCEOになった



原著のタイトルは「Tough Choices」、直訳すれば「困難な選択」となる。「私はこうして受付からCEOになった」という日本語版タイトルは、日本HPの社長になった樋口泰行氏の「「愚直」論 私はこうして社長になった」から来ているのだろう。



と思っていたら、Amazonの「よく一緒に購入される商品」に並んでいた。

内容は最初から最後まで回顧録。様々な「Choice」が巡ってくる中で、悩みながらも「Tough Choice」を選び全力で立ち向かっていく。しかし、女性が目立つポジションに立つことは米国でも、あることないことがメディアを通じて発信されてしまうことでもある。

本書の中に散りばめられているカーリー・フィオリーナ氏の経営哲学は、机上ではなく実体験から述べられているので非常に説得力がある。
一番印象に残ったのは「原因なくして数字なし」という話だ。当たり前のように聞こえるが、この論理はとても大切だ。突然数字だけが良くなったり悪くなったりすることはありえず、必ず仕事が実際に動いている現場に何かの原因があるのだ。

そして、カーリー・フィオリーナ氏の「ビジネスと女性」に関する考え方は明快だ。本来、ビジネスはスポーツのように男女別の種目などない。「ビジネス界でもっとも影響力のある女性50人」という企画は、まるで女は男と伍してはいけない印象を与えかねず、あまり良くないと述べている。言ってみれば当たり前だが、おそらくこの本を読まなければ「ビジネスウーマン50人」企画は違和感なくそのまま読んでいただろう。
「自分をビジネスウーマンだと思ったことはない。私はビジネスパーソンでたまたま女だっただけ」という台詞が印象に残った。