本書において著者は日本のマクロ経済について、様々な「例え」を用いて説明している。そのため、専門家の解説というよりも大学教授の授業に近い「砕き方」になっている。
マクロ経済学に関しては、斎藤誠さんの著書も買ったのでこの本と合わせて学んでいきたいが、本書で唯一腑に落ちなかった部分がある。
少子化の回避に成功すれば、財政危機などほとんどの問題は
自動的に解決しますが、失敗すればたいへんな調整を
強いられます。しかし、(中略)多くの人々が少子化対策を
バカにしがちです。
少子化に関しては野口悠紀雄さんも「資本開国論
この命題は少子化対策が叫ばれるなかでは違和感があるが、少し考えてみると当然のことだ。そもそも生まれてくる子どもの数が増えるということは1歳以下の子ども数が増えることを意味する。
もし、いま出生児数が劇的に増えても、その世代が生産年齢人口に数えられるのは15年後なのだ。その間、依存人口比率は増え続ける。また、15年経ったら問題が解決するわけでもなく、徐々に生産年齢人口が増えていくだけなので、現在の推計と比べて実質的に効果が現れるのは約40年後なのだ。
野口悠紀雄さんも結論づけているように、今さら出生率を引き上げても経済問題に対しては「手遅れ」なのだ。もちろん、子育て支援などが無意味という訳ではないが。