採用スケジュールに関する重要なお知らせ---キヤノンMJ
最近、キヤノンマーケティングジャパンが2011年の採用活動を一時中断することがネット上で話題になった。
上記の発表の要旨は以下のようなものだ。
業績の見通しが立たず、
2011年に新卒を採用する決定が出来ないでいる。
なので、今までの見切り発車の採用活動は休止する。
また、新学期がスタートする4月からの採用活動は
学生から学ぶ機会を奪っているのではないかと思う。
なので、1~3月期の業績を見た上で4月以降にお知らせし、
採用活動は行うとしたら夏期休暇中にする。
これに対し、「若者はなぜ3年で辞めるのか」の著者で人事コンサルタントの城繁幸氏はブログでこう記している。
ものすごくオブラートでくるんでいるけど、
要するに先行きが不透明なので採りませんということだ。
キヤノンだけ特別苦しいとも思えないので、
これは単純に日本経済の見通し自体が
相当ヤバいということだろう。
キヤノン同様、ほとんどの大手企業は
終身雇用死守を標榜しているから、
同様に入り口を絞り上げてくるはず。
これから2階の椅子はどんどん減っていくだろう。
「どうしても大手に入りたい!」という学生さんには、
現状では可哀そうだけど諦めてねとしか言いようがない。
日本型雇用というのはそういうものだから。
キヤノンマーケの採用担当者はそこそこ文才がある。---Joe's Labo
つまり、城氏は富士通の人事部出身なので「要するに採りませんということ」というのはやけに説得力がある。
民間企業が新卒を採用するかどうかというのはその企業の判断であり、自由だ。その判断基準はその時点での業績と今後の見通しであることは間違いない(CSRとかも一部関係あるのかもしれないが)。
よって、キヤノンMJの採用活動休止も発表文にある通り業績見通しが不透明であることが一番の理由になっている。
しかし、この発表が話題になったのはキヤノンMJが「従来の横並び採用活動」に疑義を呈したからだ。就職活動の早期化はもともと問題になっており、去年就職活動を経験した自分としては善し悪しはともかく目新しいことでも何でもなかったため、ハッキリ言って業績悪化の隠れ蓑に使ったとしか思えなかった。
就職活動の早期化の善し悪しの問題は置いておいて、少し考えてみるとキヤノンMJにとって、この時期にこの発表をすることはなかなか功名な戦略に思えてくる。
城氏の言うとおり、おそらくキヤノンMJは新卒を採らないだろう。
もしも、年明けからGWにかけて従来の採用活動を本格的にスタートさせてから、同じ発表するのでは風当たりが強くなってしまう。ならば、就活の早期化に疑問を投げかけるとともに、「出遅れます」とだけ発表しよう。と、なったのかもしれない。
真実はキヤノンMJの採用担当にしか分からないし、そもそも民間企業が新卒をとるかどうかはその企業の自由だ。
しかし、もし業績見通しが良かったら従来のまま採用活動をしていたのではという穿った見方をしてしまうと、客観的に見てなかなか上手い戦略だなと思った。
それともう一つ、これも良し悪しの議論は別にして今の大学生は就活がなかったとしても勉強しない、と思う。
どうすればいいのか、は再び置いておいてキヤノンMJが行うかもしれないように、他の全ての企業が夏季休暇期間に採用活動を行うとしても、夏に就活を控えた春学期に学生は勉強に身が入るとは思えない。むしろ、付け焼刃のTOEICとかを受けるようになって本来の自分の専門はないがしろになる可能性すらあると思う。