1/19/2010
【書評】サバイバルとしての金融---岩崎日出俊
極めて、まとも。外資系企業のM&A=ハゲタカという等式を頭のなかにもつ人がいたら、ぜひ読んで欲しい。
「会社は誰のものか。」
この問いに「株主や経営者、従業員、顧客などの利害関係者全体」と答えるステークホルダー型資本主義を、著者の岩崎氏は経営者の言い訳であり「村社会型資本主義」だと記している。
そもそも、日本の法律のどこにもそのような法体系は載っていない。会社はまぎれもなく、株主のものなのであり、経営者の使命は企業価値を上げることなのだ。そのための手段として、従業員の研修をしたり、顧客へサービスしたりするのだ。
本書は振り返ってみれば、資本主義の世の中ではごく当たり前のことが書かれている。そう思っていると、以前聞いた一つの言葉が頭を過ぎってきた。
「資本主義は最悪のシステムだが、これ以上のものはまだ発明されていない。」
確か、08年の金融危機の後に新聞かどこかに書いてあったものだったと思う。一字一句あっているかどうかは分からないが、本質をついた言葉だ。