1/31/2010
【書評】すべては一杯のコーヒーからーーー松田公太
表紙のデザインからも分かる通り、タリーズコーヒージャパンの起業ストーリーである。ただ、起業に関してだけ書かれている訳ではなく、著者の生まれてから本書を書く2002年までの軌跡が綴られている。
どんな人々と関わってきたのか、どんな取引先とどのような交渉をしてきたのか、などが細かく書いてあるのはファーストリテイリングの柳井正さんの「成功は一日で捨て去れ」と同じ印象を受ける。
この類の著書を読んでいつも思うことが、「実は著者自身が忘れたくない経験、忘れてはならない失敗」などを敢えて赤裸々に描き、自分を奮い立たせているのではないか、ということだ。誰かに思いを伝えたい、というよりも自分を浮かれさせないために今までの経験を振り返っているように感じる。もちろん、真相は著者本人も聞かなければ分からないが。
そして、誰かに伝えるためよりも自戒のための本の方が得てして読んでいて面白い。松田公太さんの著書は「仕事は5年でやめなさい。」に続いて2冊目だが、どちらかを読むならそういった意味でも「すべては~」の方をおすすめする。