1/18/2010

【書評】雇用崩壊---アスキー新書編集部



2009年4月10日に初版が出版された、そのとき物議を醸していた派遣切りや内定切りなどの「雇用崩壊」問題を論じている本である。
著者は民主党の衆議院議員から元「とらばーゆ」編集長まで7人いて、分量は新書で189ぺージのため、様々な視点から見れる反面、少し長いブログを読んでいるようでもある。

本書を読んでいて、一番目を引いたのが八代尚宏氏と安部誠氏のコントラストだった。元経済財政諮問会議議員の八代氏と、年越し派遣村実行委委員の安倍氏、と書けばどのような対称性かは分かるだろう。どちらを支持するかを問われれば、自分は八代氏を支持する。

不況期の雇用問題では、必ず「目の前のかわいそうな人を助ける」という大義名分から、ワルモノを懲らしめる勧善懲悪で問題を解決しようとする人が出てくる。
確かに、目の前の貧困を助けて、大企業を指弾するのはウケはいいかもしれない。でも、そういう「結果の平等」を求めることを社会主義という。

社会主義が「奴隷への道」であることは歴史が示した通りであり、日本はある面だけを見ればとても冷酷な資本主義の国なのだ。
自由よりも平等を優先する社会は、結果としてどちらも失うことになるのだ。


奴隷への道はフリードリヒ・A・ハイエクの著書の名称で、自由よりも~はミルトン・フリードマンの言葉である。

社会人になる前にちゃんと資本主義を勉強しようと思って、ハイエクとフリードマンの著書を購入したのだが、本書のようにコントラストを考えるというのは読書においてとても重要だ。なので、ハイエクにはマルクス、フリードマンにはケインズという対立軸で、様々な本を読んでいこうと思う。

参考:亀井金融相のメチャクチャな経団連批判 「ワルモノを懲らしめる」という「勧善懲悪」思考では、経済問題は解決しない---Zopeジャンキー日記