1/30/2010

【書評】資本開国論―新たなグローバル化時代の経済戦略---野口悠紀雄



野口悠紀雄さんの著書は初めて読んだが、理路整然としていて無駄がほとんどない印象を受けた。

本書が世に出たのは2007年5月で、そのときは安倍内閣だった。自民党政権は福田内閣・麻生内閣へと引き継がれ去年の9月に政権交代し、民主党の鳩山内閣が生まれた。07年には予期出来なかったかもしれないが、この国は1年に1回首相が変わっていっているのだ。いまの鳩山首相も、数年後には「変なこと言ってたお坊ちゃま」としか記憶されていないかもしれない。

しかし、総理大臣とは違って日本の産業構造はほとんど変化がない。この本の次の著書のタイトルは「モノづくり幻想が日本経済をダメにする」だが、3年後の今でも「モノづくり」信仰は非常に根強い。むしろ、08年の金融危機を経て、「金融=強欲」というイメージが広がったようにも思える。

本書ではイギリスやアイルランドのように、日本も資本開国をして企業を国際競争にさらすべきだと論じている。サバイバルとしての金融にも書かれていたが「外資=ハゲタカ」というイメージも未だに日本に根強いと感じる。
つい最近でも日本航空にデルタ航空が出資する、というニュースがあったときも(確かヤフーニュースのコメント欄に)「また日本の企業が外資に食われる」というコメントがあり、さらに「そう思う」に多くの票が集まっていた。

日本には変えなければならないことが非常に多い。その最たるものが産業構造だと思う。


この表が事実かどうか知らないが、10年後もこの序列・水準を維持するのは間違いなく不可能だと思う。序列だけを維持することは出来るかも知れないが、それは水準が下がるorインフレが起こるときしかない。

社会人になるまであと2ヶ月。決して会社には安住せず、世界の流れを見て生きなければならないと強く思う。