12/31/2009

【書評】ネットvs.リアルの衝突―誰がウェブ2.0を制するか



前半はWinny事件、後半はインターネットとデジタル製品に対する2006年時点までの総括と展望。Winny事件については逮捕直後のことが事細かに記述されており、金子勇氏の発言も多いためドキュメンタリーのように書かれている。

著者の佐々木俊尚氏がWinny事件について記した理由はあとがきに書かれていた。

私はかつて金子被告が2ちゃんねるで語った
P2P技術が出てきたことで著作権などの従来の概念が既に崩れはじめている時代に突入している
将来的には今とは別の著作権の概念が必要になると思います。どうせ戻れないのなら押してしまってもいいのかっなって(原文のまま)」
といった発言について、きわめて強い感銘を受けていた。彼の言っていることはまったくもって正しく、、、


つまり、インターネットが出現したことにより、「ネット」と著作権などインターネットがなかった時代の「リアル」が対立しているのだ。

また、本書の後半部分は2006年時点での話なので新鮮味は全くない。しかし、09年の終わりに読むと3年前と現在の比較が出来る。iPodについても書かれているが、ここで佐々木氏は「ポッドキャスティング」と「情報のコンテナー」という要素を強みとして挙げている。
しかし、3年後の現在iPodはiPhoneに進化を遂げ3GやWiFiによりアイチューンズを通じたポッドキャスティングだけでなく、何時でも何処でもネットワーク上からアプリケーションをダウンロードして楽しむことが可能になった。
また、クラウドコンピューティングによりUSBメモリーなどを持ち歩かなくてもネット上にデータを置いて必要なときに利用することが可能になった。

この3年間の変化は2006年時点では誰にも予想出来なかっただろう。逆に言えば、これから3年後には今では想像も出来ない製品やサービスが登場している可能性もあるということだ。

12/30/2009

【書評】世界の下半身経済が儲かる理由―セックス産業から見える世界経済のカラクリ



以前、社会人の先輩が「この世から絶対に消えてなくならない産業はエロだと思う。エロやギャンブルは本当に儲かる。他の人になんの仕事をしているのか言いづらいだけ。」と言っていた。

本書のタイトルは儲かる「理由」というよりも「実態」といった方が正しいだろう。著者の門倉氏はエコノミストなので、数字で実態を把握した本である。
儲かる「理由」は単純明快で、人間の本能的な欲望が需要になっているからだ。そのため、規制によって撲滅しようとすることは事実上不可能である。

1930年代の米国での禁酒法が示す通り、巨人軍のような永久に不滅な需要は政府が規制してもどんどんアンダーグラウンド化するだけである。そこで門倉氏は「売春産業は合法化したほうが望ましい結果になる」と指摘している。
合法化することによって、従業員の健康保険・職場の安全確保の義務化や税金の支払い義務が生じるためだ。非合法所得への課税は大幅な税収増加につながるだろう。(門倉氏はソープランドの非合法所得を2005年時点で7364億円と推測しているため、10%課税するだけでも736.4憶円の税収増加になる。)

ただ、合法化するにしても総論賛成・各論反対になることは目に見えている。また先進国と発展途上国では、このような産業が国の経済に対して持つ意味(発展途上国で重要な外貨獲得手段になっている場合も多い)や、働く人々の同期も大きく異なるため各国がそれぞれの事情に合わせて規制の程度を決めなければならず、非常に難しい。
しかし、絶対になくならない需要に対しては規制強化=アングラ化は歴史が示す通りだ。

大切なことは「規制強化」という逃げ道に逃げず、議論を続けていくことなのだ。

12/29/2009

【書評】何のために働くのか



著者の北尾吉孝氏と言えば、古典・慶應経済から野村證券・フジテレビのホワイトナイト・SBIのCEOという印象だ。
「何のために働くのか」のタイトル通り、若い人向けの啓蒙本であり、“国家の品格”のような仁道を説く。間違ったことを書いているとは思わないが、穿った読み方をすれば「金融・インターネットなど、実態が分かりづらい事業を行っているため、経営者の考え方は清廉潔白であることを世に示したい」という目的もあったのではないだろうか。
北尾氏の古典好きは本物だろうし、ウラで汚い事業をやっていると思っている訳ではないが、精神論を100%受け入れるというのは自分には正直難しい。

そして、重箱の隅を楊枝でほじくるようなことかも知れないが、
以前NHKの番組でロシアの実業家が北尾氏を訪ねて投資を依頼したシーンがあった。そのとき、北尾氏は「儲かる話なら乗るよ」と。。。

また、北尾吉孝をGoogleで検索すると2つ目の記事に「SBIの北尾吉孝氏が激しく事実誤認していることについて。」という堀江貴文氏のブログが出てくる。。。

経営者の書いた本、という事でかなり割り引いて読む必要があったかもしれないし、20代前半の学生がこのような読み方をするべきじゃないのかもしれないが。

12/28/2009

【書評】新聞社―破綻したビジネスモデル



就職活動をしていた2月頃に日経新聞の編集委員の方に
「米国ではトリビューンが破綻し、クリスチャン・サイエンス・モニターが紙媒体の発行を止めるという状況になっていますが、日経新聞としては今後どのような戦略を打ち出しますか?」
と聞いたことがある。
(この質問をしたいがために、日本経済新聞社の説明会を聞きにいった。こういうことが出来たことため、就職活動は本当に有意義だったと思う。)

質問に対する答えは
「記事の質を高めていくとともに、やれることは全部やろうと思っている。」
とのこと。当然、日本と欧米では新聞社の顧客層や収益構造も違うが、この答えからは強い決意とともに新たなビジネスモデルの見つからない焦燥感も感じた。


本書では、毎日新聞社の元常務取締役である河内孝氏が「内側」から見た新聞社のビジネスモデルの限界を説く。
そして部数至上主義・テレビも含めたマスメディアの横並び主義など、もはや自分で自分の首を締めているとも思える事例を示すなかで、河内氏は本が執筆された2007年2月に、

「事件や役所の発表は通信社に任せればいい。その要員とコストを独自の取材にあてたら」というのが私の主張でした。

と記している。その主張は河内氏が在籍する間には通らなかったが2年半後になって、毎日新聞社と共同通信社、共同通信社加盟社による包括提携についてとなった。

メディアにとって、これからどのようなビジネスモデルが成功するのかは全くと言っていいほど分からない。いつも考えているのだが、本当に分からない。将来何が成功するか自分が分かるくらいなら、もはやそれは誰かがやっている過去のものだと思えるくらいだ。
ただ、旧来のメディアの形が今後も残るだけは到底思えない。それは単に自分が必要としなくなってきているだけなのか、メディア自身の自爆なのか、その両方なのか。。。

12/27/2009

【書評】好き嫌いで人事



日本の労働市場の問題点に「硬直化」を挙げる経済学者や評論家が多いが、経営者として著者の松井道夫氏は「人を組織に縛り付ける人事制度で顧客本位の仕事が出来るのか。無理である。」と断言する。
20世紀は組織や供給者論理でもまかり通ったが、21世紀は個人・消費者論理でビジネスをしなければならない。これが本書の中で貫かれている主張だ。

給料をもらって働くのではなく、働いて給料をもらう。

5年計画なんて言うのは、世の中を甘くみている共産主義者の戯言。

結局のところ、人間が真剣に取り組むべき仕事はアーティスト的な「人間心理学の仕事」。

わかるものを捨ててわかならいものを得ようとすることが決断の本質

これだけ書くと、経営者の著書にありがちな美辞麗句を並べたようにも見えるが、そのような綺麗事はいっさい言わない。ある意味、ウラオモテのない性格なのだと思う。

12/25/2009

【経済】就活と情報

あふれるネット情報に翻弄されて――彼らが就職できない理由---Busines Media 誠

「みん就を見たか?」
就職活動を終えた内定者の友達たちとの間で、こういう話題になることがよくある。

「みん就」とは、みんなの就職活動日記というウェブサイト。就職活動をする人たちが、企業別の掲示板に様々な情報を載せているサイトである。内定者のエントリーシートなども見ることが出来る。

こう書くと、みん就を活用しない手はないかのように見える。しかし、そこに載っている情報の真偽は分からない。そもそも、本当の情報だとしても見ている人に有益かどうかはその人次第だ。
「面接の連絡きました!OO日です!」などの情報が書き込まれていたら、その企業を志望していて選考が進んでいない学生はただ焦るだけだろう。
自分の話をすると、みん就は登録はしたが基本的には見ていなかった。誰でもアクセスできる匿名の情報は、信頼できる情報かどうかを判断する手間がかかりすぎるからだ。
その代わり、大学の先輩方の就職活動体験記を参考にした。この情報は大学の学生しかアクセス出来ず、書いているのも同じ大学の学生(個人名は書いていない)なので信頼できると思ったからだ。実際、役に立ったと思う。


結局、本質的な問題は就活をする学生が情報を活用しているのか・情報に踊らされているのか、ということだと思う。

リクルートが運営する就職サイト「リクナビ」の編集長、毛利威之(たけし)さん(36)は「ネット上の掲示板などの情報は、参考程度にとどめるべきだ」と指摘する。

上記のリンク先ではこう記されているが、「参考程度にとどめる」ことよりも、「参考程度にとどめる」かどうかを判断出来る情報に対する主体性が必要だと思う。つまり、自分から情報を取捨選択していけばいいのだ。
もちろん、主人公である学生にはそのメンタリティを持つことが一番難しいのだが。

12/24/2009

【書評】テレビはインターネットがなぜ嫌いなのか



テレビと新聞、この日本人の生活に深く深く根ざしたメディア産業の実態はそれ自体がメディアであるため、なかなか明るみには出て来なかった。いま「新聞社ー破綻したビジネスモデル」も同時に読んでいるが、テレビ・新聞を見ているだけでは絶対に分からなかったことを次々に知ることが出来ている。

本書を読むと、いかにテレビ産業が今まで上手い仕組みで回っていたかが分かる。「美智子さまご成婚」を契機にする国民的行事ともにテレビ受像機が各家庭に普及し、その影響力を背景に高い広告料を得て、高い制作費で「ウケる」番組を作る。そしてその裏で、コンテンツ(≒著作権)・電波は決して手放さない。

ただ、現時点では「ウェブはバカと暇人のもの」の著者・中川淳一郎氏も著書の中で述べているように、テレビは最強メディアであることに間違いないと思う。自分は5人家族(両親と姉弟)だが、家にいるときにインターネットばかりやっているのは自分だけだ。団塊世代の父親はNHKやドキュメンタリー、50代の母親はワイドショーやドラマ、20代の姉弟もバラエティやスポーツ番組を好んで視聴している。

以前、「そもそもなぜ人々はテレビを視聴し、新聞を購読していたのか」という疑問に対し「社会との接続のため」という回答があった。
「社会との接続」という意味では、90年代後半から携帯電話・インターネットというツールが急速に普及したため、消費者のなかでテレビ・新聞の価値が相対的に低下するのは自然な流れだ。

これからテレビ産業はどうなるのか。それは当然、テレビ自身の戦略次第だ。ただ闇雲に既得権を守ろうとすれば、その既得権自体の価値が薄れていくことになるだろう。

12/23/2009

【書評】間違いだらけの経済政策



エネルギーや穀物などの商品価格の傾向的上昇と、ハイテク製品の価格の継続的下落。この価格革命とも呼べる世界経済のパラダイムシフトに対応した経済政策を打たなければならないーーーこれが、「ミスター円」こと著者・榊原英資氏の本書の中での基本スタンスである。

タイトルが「間違いだらけの」となっているのは、従来のマクロ経済分析では構造変化による物価安定下(デフレ化)での景気拡大は説明出来ないため、インフレ・ターゲティング論が展開されてしまい、結果的に円安バブルを生み出してしまったことから来ている。

そして、資源の稀少化とハイテク製品のコモディティー化という構造変化に対応するために「円高」と「エネルギー・農業産業の振興」が必要だとする。

最近の「円高」というニュースに必ず付随するのが、「輸入物価下落によるデフレ進行」や「輸出企業の収益減少」などの懸念だ。(海外旅行が安くなるとか、輸入品の価格が下がるということも言われたりするが。)
本書の中でも榊原氏は景気が急速に冷え込んでいく中での急速な円高はマイナスになると指摘しているが、このような短期的な影響を考えるとともに長期的な影響も考えなくてはならないだろう。

※榊原氏は「国際協力銀行の解体・合併は失政以外の何ものでもない」と記しているが、この政策は事実上骨抜きになっている。国際協力銀行は日本政策金融公庫の国際業務という形式だが、日本政策金融公庫への統合は名前だけで実質的には独立して業務を行っていて、人材の採用・交流もない。

12/22/2009

【書評】ウェブを変える10の破壊的トレンド



本書が出版されたのは、07年12月なのでちょうど2年前の話になる。2年前というのはウェブの世界では遠い遠い昔の話とまではいかなくとも、すでに一昔前のトレンドの話と言える。だが、米国での先進的なウェブサービスを紹介しているので、そういった意味では新鮮な内容である。

この本を読んでいると、次から次へと斬新なウェブサービスが雨後のタケノコのように出てくる米国という環境が羨ましく思える(エンジニアとしてではなく、コンシューマーとして)。
翻って、日本から破壊的トレンドを牽引するようなサービスが生まれない理由は何なのか。

著者の渡辺弘美氏は
エンジニアが最大限創造性を発揮出来る環境が少ない
ことを挙げていた。


また、ジャーナリストの佐々木俊尚氏は以下のように述べている。
■アメリカは投資の規模が大きい
■人材の不足
■スタートアップベンチャーが活躍出来る場が少ない
日本ITの国際競争力---佐々木俊尚 より一部引用

また、楽天の三木谷社長はTwitterで以下のように言っていた。
少なくとも国家戦略担当の副総理が日本人はネットに対して否定的だというのは無茶苦茶不味い。ネットがわかる人を国のトップにしましょう。とても迷いましたが、敢えて書かさせてもらいました。
三木谷浩史 on Twitter
より引用


これだけ読んでも様々な要因がありそうなのが分かるが、自分はIT・インターネットの発展によって、既得権益を侵されている人・企業の抵抗が大きい、という理由を挙げてみたい。

先日はJTBが国内200店舗を閉鎖しネットを充実させるというニュースがあった。インターネットは日本人の生活に深く浸透してきたため、旅行業界にも変化を迫っているのだ。
新聞・テレビ・雑誌は関心を奪われ、インターネット専業の銀行・証券会社・保険会社が誕生し、年賀状はメールに代わっていき、百貨店はネット通販に押されるなど、様々な業界で「ネットによる既得権益への食い込み」が起きている。
他の国の状況はよく知らないが、日本は既得権の存在が非常に厄介だ。労働市場が流動的でないということも遠因になると思うが、「IT・ネットによって仕事が奪われている」ということが結構多いのではないか。もちろん、ネットを無くすことは事実上不可能なのでそんなこと言ってもしょうがないのだが。

自分は全くないので妄想だが、IT・ネットに対するネガティヴなイメージがあるとすれば、それも日本の競争力の向上を阻害しているのかもしれない。

12/21/2009

【日常】一発勝負と自分の財布

土曜・日曜とナゴヤドームでのMr.Childrenのライブに行ってきた。

内容はもちろん素晴らしいものだったが、ふと思い出したのが以前フットサルのイベントを行ったときのイベント会社の方の言葉。

テレビ番組を作っている人たちは、生放送以外すべて何回でも撮り直したり、カットしたり出来る。でも、イベントは常に本番は一発勝負で、カットすることも出来ない。そこがテレビと違うイベント作りの面白さかな。

また、就職活動で面接していただいたマイク○ソフトのリテール(個人向け)営業部長の方の言葉も同時に思い出した。

大企業向け、例えば三井物産さんがうちの500憶円のシステムを導入してくれてても、
500憶円はそのシステム担当者が自分で出している訳ではなく、会社のお金から払われている。でも、もしその人が自宅で使うために、ビックカメラなどでソフトウェアを買ってくれたとしたら、それはその人が働いて稼いだお金を自分の財布から出してくれているということ。そこにリテール営業の面白さがある。

この二つの言葉には、なるほどと思うだけでなく仕事に対するその方々の思いを感じ取れる。

一般的に、イベントよりもテレビの方が「大きな仕事」であり、視聴者も含めると相当な数の人が関わっている。当然、テレビCMの広告費は非常に高くなり、制作費もそれに応じて高くなる。おそらく、イベント会社よりもテレビ局の方が、いわゆる就職人気ランキングも高いだろう。

また、(まだ学生なのでよく分からないが)個人向けのリテール営業よりも、大企業向けのエンタープライズ営業の方が、企業の中ではいわゆる花形に当たると思う。周りの学生を見ても、リテール営業より法人営業のほうがいいという人は多い。

週末のイベントには、「イベントの一発勝負」と「自分の財布からお金を出していく」という二つの側面があった。
一見すると派手なこと、規模が大きいことに流されず、自分の思いを持つことの大事さを思い出させてくれる、お二人の言葉だ。

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中村昭典氏のブログで、記事を引用していただいた。中村さん、ありがとうございます。
中村さんは元とらばーゆの編集長。自分の親しい先輩も以前リクルートでとらばーゆの編集をしていて(今は転職している)、自分も何回かアルバイトでリクルートの銀座8丁目ビルに出入りさせてもらっていたので、勝手に少し親近感が湧いている。

12/17/2009

【書評】ジャーナリズム崩壊



「事なかれ主義」「横並び意識」と、日本の新聞やテレビは様々な産業を批判してきた。しかし、本当は自らが一番「事なかれ主義」「横並び意識」の護送船団方式なのだ。

その象徴が著者が批判する「記者クラブの閉鎖性」である。全国紙の記事が似通っているのは、同じ場所で同じ情報に接していて同じ記事を出すことが日本の記者の仕事なってしまっているのだ。
しかし、記者クラブの存在が悪い訳でも、日本の記者が実力不足な訳でもない。記者クラブが閉鎖的なことによって既得権益化している仕組みが問題なのだ。そのため、フリーランスや雑誌記者・海外メディアは記者クラブの記者と同じスタートラインに立つことすら出来ていないのが現状なのだ。
そして、もちろん「記者クラブ」の話題は新聞・テレビには登場しない。自分で自分の首を締めることになるからだ。

また、「誤報を検証しない」という無謬主義はもはや日本人の国民性とも言えるかもしれないが、「ミスは犯すもの。犯してはならないのは、ミスを隠すこと」という小さい頃に教わったことを日本のメディアはもう一度自覚しなくてはならないと思う。

【書評】私はこうして受付からCEOになった



原著のタイトルは「Tough Choices」、直訳すれば「困難な選択」となる。「私はこうして受付からCEOになった」という日本語版タイトルは、日本HPの社長になった樋口泰行氏の「「愚直」論 私はこうして社長になった」から来ているのだろう。



と思っていたら、Amazonの「よく一緒に購入される商品」に並んでいた。

内容は最初から最後まで回顧録。様々な「Choice」が巡ってくる中で、悩みながらも「Tough Choice」を選び全力で立ち向かっていく。しかし、女性が目立つポジションに立つことは米国でも、あることないことがメディアを通じて発信されてしまうことでもある。

本書の中に散りばめられているカーリー・フィオリーナ氏の経営哲学は、机上ではなく実体験から述べられているので非常に説得力がある。
一番印象に残ったのは「原因なくして数字なし」という話だ。当たり前のように聞こえるが、この論理はとても大切だ。突然数字だけが良くなったり悪くなったりすることはありえず、必ず仕事が実際に動いている現場に何かの原因があるのだ。

そして、カーリー・フィオリーナ氏の「ビジネスと女性」に関する考え方は明快だ。本来、ビジネスはスポーツのように男女別の種目などない。「ビジネス界でもっとも影響力のある女性50人」という企画は、まるで女は男と伍してはいけない印象を与えかねず、あまり良くないと述べている。言ってみれば当たり前だが、おそらくこの本を読まなければ「ビジネスウーマン50人」企画は違和感なくそのまま読んでいただろう。
「自分をビジネスウーマンだと思ったことはない。私はビジネスパーソンでたまたま女だっただけ」という台詞が印象に残った。

12/16/2009

【経済】出版業界は「不況」なのか


本の販売2兆円割れ 170誌休刊・書籍少ないヒット作---asahi.com

出版科学研究所によると、書籍と雑誌の推定販売金額が09年は2兆円を割り込むことが確実になった。1.93兆円になると予測されている。ピークの96年は2.65兆円だったのだから3割落ち込んだことになる。こうなると当然、休刊も数多く出てきている。

こうなった要因は様々であり複合的だと思うが、色々考えていみるとこの状況を「不況」と呼ぶのに違和感を覚えてくる。これから「好況」が来るとどうしても思えないのだ。

まず、考えられる要因を羅列してみる。

①インターネットの普及
 ①’PC・携帯電話の普及
②消費者の購買力の低下
③雑誌の広告の宣伝効果の低下
④人口の減少

一番大きいのは①と①’だろう。情報へアクセスする手段が90年代後半から劇的に変化した。ピークが96年ということは、Windows95が出た頃からずっと販売金額が落ち込み続けていることになる。それ以降、様々なWebサービスが出る中でブロードバンドのインフラが整い、携帯電話が普及してきた。インターネット・PC・携帯電話がない世界に戻ることは絶対にないだろう。

そして、②の賃金の低下が2兆円割れを招いた。経済的な理由から雑誌・新聞の購読を止めた・減らしたという人は少なからずいるだろう。しかし、賃金が上昇に転じたとしたらこのような人々は再び雑誌・新聞を購読するようになるのだろうか。購読を止めていた期間に「情報へアクセスする代替手段」を見つけたとすれば、紙媒体の雑誌・新聞を買う必要は薄れる。

③の理由は今日の帰り道に思いついたのだが、「携帯電話・携帯ゲーム機の普及で電車の中吊り広告の宣伝効果が低下しているのでは」という仮説から来ている。今に始まったことではないが、電車に乗るとき車内で携帯電話を扱っている人を見ないことはない。当然、そのような人の視線は自分の携帯電話に向けられていて、中吊りには向かない。よって、雑誌の中吊り広告が消費者に認知されず、その結果雑誌も売れなくなっているのではないか。

④はこれからジワジワとボディーブローのように効いてくるだろう。(人口が減り始めたのは2006年なので)

つまり、現在は「不況」という景気循環ではなく「長い下り坂」の途中というのが自分の考えだ。もちろん、何らかのイノベーションによって需要が喚起され、「上り坂」に転じる可能性もあるが。


ちなみにこのエントリーを書こうと思ったのは、ここ最近の自分は電車の中で必ず本を読んでいるからだ。乗ってから5分で降りるときも、数ページを必ず読む。今日の帰りも電車の中で本を読んだ後の帰り道、中吊りを見なくなったと思った。そして「中吊り見なくなったな」→「中吊りって雑誌が多かった印象がある」→「そういえば、書籍・雑誌が売れていないことが最近のニュースの中にあったな」→「売れていない一因は人々が中吊りを見なくなったから」と言った具合に考えて、思ったことを記してみた。

12/15/2009

【書評】インドの衝撃



良くも悪くもNHKの取材本である。統計データなどのグラフはないため、全体像は掴みにくい。そもそもインドのような国では人口さえも正確なデータがなく、11億人という公式の数字も「あと1~2億人いる」とさえ言われるくらいなのだが。

良いと思ったのは、ドキュメンタリー番組を本にしてある「人々のリアルな暮らし」が分かること。また、取材班の日記の要素も強く人々を取り巻く環境や、日本人が持ちやすい先入観も併記されている。

逆に悪いのが、一部の人々の話に偏っていて全体像が見えないことだ。やはり、定量的な統計データがないと説得力に限界が出てくる。

また、これは本の内容の巧拙の問題ではないがこの本が出版されたのは2年以上前で、内容は2006年までが中心だ。この本を読んだだけでも、その時点から現在までにも様々なトピックがあることは間違いない(タタ自動車のナノの話、など)。続編も出ているようなので、読んでみようと思うが、続編だけでなく様々な書籍も読もうと思う。


この本は約320ページあるが、2日で読み終わった。他の本も読みながらなので、読書のスピードが上がってきたことを実感している。

12/14/2009

【経済】続・Amazonマーケットプレイス

Amazonのマーケットプレイスを眺めていると、色々面白い傾向が分かってくる。中古本の価格が色々な事を表しているのだ。

Amazonのサイトには様々なレビューが載っている。自分はレビューを書いたことはないが、本の購入を検討する際には結構参考にする。しかし、以前のエントリーでも書いたように、書籍はコンテンツであるため評価は人それぞれだ。極端な話、音楽でも洋楽が好きな人から演歌が好きな人まで存在するように、コンテンツには人によって好き嫌いがある。その好き嫌い(本の場合は論理的でないことが指弾されることも多いが)を星の数で評価することには些か無理がある、というか限界がある。

Amazonのレビューはアカウントを持っている人しか書けず(と言ってもAmazonのアカウントを持つ人は日本に相当数いると思うが)、レビューの名前をクリックすれば、その人が他にどんな書籍などにレビューをしているかが分かる。さらに、「○○人中××人が参考になった」とか「レビュアーランキング」などもあるため、「この人、良いレビュー書いてるな」と思ったら、その人が他にどんな本を読んでいるのか確かめることが可能だ。しかし、これは結構根気のいる作業で、セレンディピティもあるとは思うが、好き嫌いの要素もあるレビューを積極的に参考にしようとはあまり思わない。

前置きが長くなったが、そこで「中古の価格」を見るのだ。レビューは文章なので読解しなければならないが、価格は数字なので一瞬で分かる。
そして、過去に売れた本ほど中古では安い。一つ前のエントリーでウェブ進化論を例に挙げたが、数年前に大量に売れた本は、今は供給過剰で値段がグッと下がっている。これがお金のない自分のような学生にはかなり嬉しく、「結構売れた本だから、安いし買ってみるか」と思ってしまう。
ただ売れた本が全部安いという訳でもなく、クレイトン・クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」はあまり安くなっていなくて(新品2100円で、中古は1660円から)残念だった。どれだけ売れたは知らないが、かなりの良書と聞くこの本はあまり中古が流通していないと思われる。

・・・余談だがGoogle日本語入力で「イノベーション」まで売ったら「イノベーションのジレンマ」が候補で出てきた。レビュー数も多いことから、かなり売れたのだと推測出来る。

12/13/2009

【経済】Amazonマーケットプレイス

先日、初めてAmazonマーケット・プレイスで買い物をしてみた。マーケット・プレイスでは、様々な本屋がAmazonをインフラとして、中古本や新品の本を売っている。本の価格は本屋が決めるが、配送・手数料は一律で340円(1冊ごと)、決済など手続きはAmazonのサイト上でクリックだけで完結する。

0円で売ることは出来ないらしく、中古本の価格は1円~新品での価格(当然、新品価格の中古本は売れないから、多少安くなる)まであるのだが、驚くのは1円で出品している本屋が非常に多いことだ。例えばベストセラーになった梅田望夫氏の「ウェブ進化論」では、169点中、42点が1円だ(2009年12月13日現在)。→ウェブ進化論のマーケット・プレイス

もちろん、配送料が340円かかるため実際にかかるのは341円になる。ウェブ進化論(新品798円)では、実質57%引きで購入可能ということだ。単行本などではさらに安くなるケースもある。


長々と説明を書いたが、「後から読みたくなったとか、読みたかったけど読んでなかった本」が安く売っていたら、今後も利用しようと思う。理由は色々ある。
まず、この類の本は本屋に置いていないことも多く、通学途中の本屋になければネットで買うしか無い。
第2に、学生なのでお金がない。(実はこれが一番大きいだけかもしれない)
また、通販で買うと「中古」感が少ない。これは個人の感覚の問題だが、耳折りなどがないものが通販で送られてくると不思議と「中古」本を買ったという気にならない。

高校生の頃、古着を買うと親に「他人が着たものなんて」と言われ嫌がられたが、受験勉強の参考書から今買っている本までずっと「本は新品」を貫いてきた。
あるかどうか分からない中古の本屋に本を探しにいくのが億劫だったことと、「中古」感が多少嫌だったからだが、「通販で買う」ことにはあまり抵抗がなかった。
いまの自分が学生でお金がないことが一番の理由だと思うが、「この値段なら買ってもいいか」と思える本は今後も中古で買っていくと思う。

12/12/2009

【書評】貧困ビジネス



相変わらず、門倉氏の情報収集能力には舌を巻くばかりだ。闇金融・性風俗などのアンダーグラウンド経済を、日本だけでなく海外までどうやって調べているのかを本にして欲しいくらいである。

著書「ワーキングプア いくら働いても報われない時代が来る」でもそうだが、著者はエコノミストなので事実に基づいて冷静に書いている。「こんなにかわいそうな人がいます」とか「どれもこれも政府や大企業の責任です」みたいな感情に訴えるようなことはない。

ただ、逆にエコノミストのレポートの域を超えないので、政策提言などに及ぶと弱い面もある。湯浅誠氏もそうだが、民間企業の中で利益やコストを考えながら働いた経験がない(門倉氏はずっと民間シンクタンクのエコノミスト)と、どうしても勧善懲悪な議論になってしまう気がする。

規制緩和と強化の境目が難しいことは、貸金業法の改正などを見ていれば分かるが、この問題はおそらく「どこまで規制するか」の綱引きでは解決しない。先日のニコニコ生放送で堀江貴文氏も指摘していたが「お金の使い方・借り方」に関する教育が不足していることが、問題の大きな原因になっているのではないだろうか。

【書評】会社のデスノート トヨタ、JAL、ヨーカ堂が、なぜ?



細かな財務諸表分析などは行わず、戦略に照らし合わせて「企業が失敗する法則」をデスノートのルールとして記している。

本書を書店で見て「読みたい」と思ったのは、「日本が繁栄するためには、サービス業が発展するほかない」という一文があったからだ。著者はさらに労働集約型の「軽サービス業」から、生産性の高い資本投下型の「重サービス業」へ脱皮しなければならないと説く。

軽サービス業から重サービス業への脱皮こそが「サービス・イノベーション」だ。サービスとイノベーションは一見、互いに交わらない概念だが、今の日本のサービス業にはイノベーションによる劇的なコストの減少が求められているのだ。

12/11/2009

【書評】東京が駄目なら上海があるさ



この本は少し前に父親から貰った本。最近は経済学や実証研究などの本ばかりを読んでいたので、こういったよく言えばシンプルで悪く言えばアバウトな考えの本は新鮮で面白かった。
すべての内容が邱永漢氏の感性で半ば殴り書きされているので、統計データなどは全く出てこないが、だからと言ってトンチンカンなことを述べている訳ではなく、しっかり的を得ている。

内容は邱永漢氏の「金・場所・仕事」論。タイトルからすると東京・上海の2都市を比較しているように考えるが、このタイトルはあくまでも「例え」で「お金儲けのためには場所を変えろ、ついでに仕事も変えろ」ということだ。

「仕事」論の中で「価格決定権のない商売はやるな」という話がある。言われてみれば当たり前のように聞こえるが、自分の商売を考える(≒就活で企業を選ぶ)ときに「価格決定権」を考慮しない人は結構多いと思う。
この本をくれた父親も外資系の企業を自分に勧めなかったのは、外国企業の日本支社には価格も含めた「決定権」がないからだろう。

12/10/2009

【書評】プラネット・グーグル



Google本は結構読んできたが、本書はGoolgle誕生から08年夏までの軌跡をGoogle内部から見て記したものであり、外から見て書いているものではない。

そしてGoogleに肩入れせず、客観的に書いてあるところが秀逸だ。賛美するわけでもなく、批判もしない。著作権やプライバシーに関する問題も、例えば「エリック・シュミットは~~と考え、スティーブ・バルマーは~~と言った」などのように第三者として書かれている。

また、米国人が書いている本なので、当然だが舞台は米国だ。日本の企業も日本人も全く登場しない。ブックサーチの話で慶応大学が登場するくらいしか日本人に身近なことはないので、読むのに時間がかかってしまった。

本書で一番印象的だったのが、「未熟な技術で我々のプライバシーが守られている」という話だ。
ストリートビューは日本でもかなり物議を醸したが、私たちが今まで公共の道路を見ても見られていないと感じていたのは撮影するカメラがなくそれを見る技術がなかっただけのことなのだ。
この話は、今後も様々な技術が世の中に出てくることによって、技術がなかっただけの問題が物議を醸すことを示唆しているのだ。

【経営】若手お笑い芸人というベンチャービジネス

個人的に、お笑いは人並みに好きだ。もちろん、純粋に楽しむためにTVなどで見ているのだが、「お笑い芸人」が成功するために必要なことを少し真面目に考えてみると、ビジネスにも結構役に立つのではないのかと思えてくる。

タイトルにも書いた通り、「若手お笑い芸人」はベンチャービジネスに例えられる。何千組(何万組?)という若手の芸人の中で、テレビに出演出来るのは一握りどころか一摘みだ。ベンチャー企業も、上場出来る企業は本当に僅かだ。また、テレビに出演することを目標としない芸人がいるのと同様に、上場を目指している訳ではない企業がいることも似ている。

そして、成功するためには「自分独自の色を出すこと」と「時代の流れをつかむこと」が必要だ。ココもベンチャー企業と非常に似ている。
その中で自分は最近、後者の「時代の流れをつかむこと」を考えるようになってきた。
今、プラネット・グーグルという本を読んでいるのだが、Google社の急成長は技術力とともに「(偶然も含めて)時代の流れをつかんでいたこと」が大きかったことがこの本からは分かる。(結果論であり反証は不可能だが、)Google社の誕生が1年早くても1年遅くても、今のGoogleにはなっていないのだ。

いまテレビに出ている若手お笑い芸人も、「いまの時代をつかんでいる」から売れていると言える。そして、凡百の一発屋たちは「売れた時代しかつかめていなかった」から一発屋になったとも言える。

芸人たちの栄枯盛衰から学べるものは多いのだ。と、書いていたら以下の本を思い出した。



また、改めて読んでみようと思う。

12/09/2009

【IT】サイバーエージェントの新サービス

芸能人も参加の「Amebaなう」携帯版が開始---Amebaニュース

AmebaなうとTwitterの関係---六本木で働いていた元社長のアメブロ



昨日ニュースを見たときにtwitterでつぶやいたときに少し思ったことを、堀江氏がさらに広げて書いていた。自分はAmebaのアカウントは持っていないのでサービスは利用していないのだが、明らかにtwitterを恐れてのサービスである。利用者がどう使うかはこれからのプロモーション次第だろうが、自ら「twitterパクってます」と宣言するようなサービスをリリースするのはどうなんだろうか。

まだ「つぶやき=twitter」が3~4年前の「SNS=mixi」のように定着する前にサービスをリリースして、結果として勝てればいいという戦術は正しいのかもしれないが。iPodだって、世界最初のMP3プレーヤーというわけではなかったし。

ただ、堀江氏も指摘するようにtwitterはサードパーティが開発するアプリケーションが普及を後押しする大きな要因だと自分も思っている。実際、このBLOGもサードパーティのアプリを使って投稿すれば自動的にtwitterに送られているようになっている。また、自分にとってはiPhoneで見れることも非常に大きい。
そのような「使いやすさ」をAmeba内で実現できるのか。それともアメブロのように芸能人を全面に押し出し続けるのか。

色々書いてAmebaには他にどんなサービスがあるのか気になってきたので、会員登録をしてみようと思うが「つぶやき」は引き続き使いやすいtwitterにしていくことにしよう。

【IT】feedtweetを導入

feedteetを導入してみたので、テスト更新。

12/08/2009

【Mobile】iPhoneから更新




Blog編集アプリを入れてみたので、iPhoneから更新テスト。

- Posted from my iPhone

【IT】相互入れ替えするWebサービス

今日は色々使っているサイトを連携させた。twitter・GoogleReader・blogger・Flickr・MediaMarkerをそれぞれ相互入れ替えした。ちなみにMediaMarkerはAmazonと連携出来ている。

twitterを本格的に使い始めたのはここ数日なのだが、「つぶやき」という柱のサービス以外にも、上記のような様々なWebサービスと連携出来ることも大きな特徴だと思う。
そして、このことがmixiボイスとは大きく違う点だ。mixiボイスは使ったことがないが、他のサイトとシームレスには連携出来ていない(はずだ)。

そもそも、mixiというのは結構閉鎖的なサービスだと思えてきた。openIDやレビューでのAmazonとの連携などはあるが、ほとんどはmixi内で完結するサービスであり、mixiにログインして使うものだ。

一方twitterはGoogleReader・Flickr・Amazonなどからワンクリックで繋がっている。さらにbloggerやMediamarkerの更新情報も自動的に拾われる。もっと言うと、これらのサービスはほとんどiPhoneのアプリケーションになっていて、PCを開いている時だけでなくとも手軽に使える(mixiもケータイで結構使えるが)。

自分の周りでもmixiを使っている人は多いし、サービスもかなり充実していると思う。だが、自分は魅力を感じなくなってしまった。それは他のサービスとの連携がなく、自分がiPhoneを使っているからだと思う。
ただ、日本ではしばらくはmixiの優位は揺るがないと感じる。それはmixiが多くの日本人に浸透したからなのか、日本のケータイの特異性からか・・・その両方か。

12/07/2009

【IT】テレビも映画も網膜も、ただの「画面」になる

テレビも映画も網膜も、ただの「画面」になる---ASCII,jp

グーグルは「Google Chrome OS」をプレビューした。Chrome OSというのは、前回(世界の「5台」のコンピュータの中身)で触れたWebブラウザーの「Google Chrome」やクラウドに関する議論とも、大いに関係がある。

Bloggerをtwitterと連携させてみたお次は、GoogleReaderとtwitter・GoogleReaderとBloggerを連携させてみた。この記事の投稿はそのテスト。

【IT】twitterfeed

twitterfeedを導入してみたので、テスト更新

【経営】飲食店経営の「仕事」と「作業」

ビジネスマンのための本によく「他の人と関わってやるのが仕事で、自分ひとりでやるのは作業」と書いてあるのを目にする。初めて聞いたときはなかなか上手い言い方だなと思ったが、何が仕事で何が作業なのかを分けることは様々な場面で有用だ。

例えば飲食店。飲食店にはホール(お客さんが食事をするところ)とキッチン(料理を作るところ)がある。ここではホールでするのが仕事で、キッチンでするのが作業と言える。これは場所というより「お客さんが関わること」が仕事であり、キッチンで行われることはその仕事のための作業なのだ。「仕事はホールにある」とも言い換えられる。
美辞麗句にも聞こえるが、飲食店で働く人(アルバイトの自分も含めて)には戒めの言葉だと思う。飲食店で働くと、つい作業に気をとられてしまうのだ。

作業の効率化や丁寧さはもちろん重要だ。素早く美味しい料理を出すことは飲食店の使命だが、作業はあくまでも作業であり仕事に優先されるものではない。

12/06/2009

【日常】学歴

「学歴」って・・・はてな匿名ダイアリー

就職活動をしている学生から、「学歴って関係ありますか?」と聞かれることがたまにある。聞かれた場面や相手によって「ある」と言ったり「ない」と言ったりするのだが(つまり自分の内定先には事実上「ある」と思っている)、学歴についてよく考えてみると「学歴による評価」もある意味理にかなっていると思える。

学歴は、たんに個人の能力を示すものでは無い。その個人の両親や家族の育ちや資産までも推し量れるステータスだったのだ。

はてな匿名ダイアリーでは、学歴と両親の教育に対する姿勢の相関を考えているが、自分はこの要素以外にも「周りの人々」という要素が重要だと思う。

学歴が高いということは、「私は学歴が高い仲間が周りにいる中で育ちました」と同義だ。人の育ちはその人の家庭や学校にどんな人がいるのかに大きく左右されると思う。進学校や一流大学には、勉強も出来て上昇志向もある人間が多い。学歴はどんな仲間と共に育ってきたのかを示すものでもあるのだ。

ただ、あまりにも恵まれた家庭に育つと金銭感覚が狂うのはあえて書くまでもないが。

12/05/2009

【IT】評価システムの功罪

Amazon・youtube・App Storeなど、大量のコンテンツを置いているこれらのWebサイトには星5つで利用者がコンテンツを評価する「評価システム」がある。

自分は3つともよく使うので、コンテンツと同時に評価もよく目に入るのだがこの評価システムはなかなかの曲者だ。星5つが多い本を読んでみたら拍子抜けするほど軽い内容だったり、星の数の平均が3以下でも使っていみたらいいアプリケーションだったりする。
もちろん、個人個人の好き嫌いがあるから星の数と自分の評価が一致することもあれば一致しないこともある。

ここで、「そもそも」を考えてみる。このような星の数の評価システムはそもそも必要なのだろうか、そして有益なのだろうか。ここにこのモノサシの功罪がある。コンテンツに対して5段階の評価をする、というのは分かりやすい反面、必ず5段階で評価しなければならないことになる。上記の3つはコメント欄も付いているが、星の数を決めずにコメントを書きこむことは出来ない。コンテンツに対する人々の評価は、評価する人の分の多様性があるはずだ。それこそ、1直線の座標軸もxy平面でも3Dでも表せないだろう。



この本によると、クックパッドはこの多様性を重視して掲示板や星の数の評価システムは無いらしい。自分は実家暮らしの学生で、普段は料理をしないのでクックパッドを使う機会はほとんどないのだが、そのシステムには非常に興味がある。

12/03/2009

【書評】チャイナ・アズ・ナンバーワン



今後、中国に関する本を読むことになると思うが、どんな本を読んでもこの「チャイナ・アズ・ナンバーワン」を読んでおいてよかったと思うだろう。タイトルこそ80年代後半の「ジャパン・アズ・ナンバーワン」から来ているが、内容は非常に多くの統計データを基にしていて読みやすい。
様々な側面から中国を捉えているため「広く浅く」なっているが、だからこそ「中国入門」としてよかった。

以前読んだ、老いてゆくアジア―繁栄の構図が変わるときにもあったが中国が今後も成長を続けていくためには「生産性」という壁がある。もちろん、世界一の人口大国として労働人口という比較優位がすぐに揺らぐわけではない。しかし、2010~2015年にかけて労働人口比率がピークを迎え労働人口も減少に転じる。
この事実は中国にとっての試練であると同時に、日本にとっても大きな試練である。

著者は最後に日本への提言も加えているのだが、その中に「日本人の直接投資に関する誤解」というのがあった。

例えば、日本に得意分野である自動車産業において貿易障壁がなくなり年間100万台が中国に輸出できるようになれば、得意分野(=賃金が高い)かつ国内で多くの雇用機会(グッド・ジョブ)が生まれることになる。
しかし、日本における産業空洞化の議論はこの観点が抜けている。日本がもはや比較優位を持たない産業が古い工場を畳んで中国に持っていくと、従業員の解雇が問題になる。逆に、日本が比較優位をもつ分野の企業が中国に工場を建てると、「市場開拓」として評価される。これは衰退産業の保護であり、産業の高度化を遅らせている。本来は衰退産業を海外へ移し、得意分野を強化すべきなのだ。そのためには自由貿易が是が非でも必要になる。

この点に関しては自分も抜けていた。今後は中国をはじめとする新興国の企業のキャッチアップが日本の産業の課題になるが、「比較優位」をどうやって活用すべきなのかは考えていく必要がある。

12/02/2009

【経営】副業という働き方

今日すこし、「副業」について考えてみた。と言っても自分が始める訳ではなく、労働のオプションとして副業がもっと普及してもいいのではないか、ということだ。

そう考えるに至ったのにはいくつか理由がある。

●賃金の低下
今年の冬のボーナスは平均15%減となり、ワーキングプアと呼ばれる人々も含め日本人の給料は平均的に減っている。ならば、副業を積極的に推進し、個人ダブルインカムのように収入源を増やしてもよいのではないか。

●Google社の20%ルール
これは既に有名な話だが、就業時間の20%を定められた仕事と違うことに充てるというのはある意味「社内副業」と捉えることも出来る。そこで生まれた発想が新事業や社内ベンチャーなどをつくっているのだから、副業は本業とのシナジー効果も期待できる。

●起業はハードルが高い
現状の会社・給与に不満があっても、起業はリスクが高い。リスクを恐れて起業出来ないのなら副業しても儲からない、と言われそうだがたとえローリスク・ローリターンでも副業というオプションを認めることに意味がある。

●「副業禁止」への疑問
自分はまだ学生だから会社のルールなどはよく分からないが、そもそも企業が従業員に対して副業を禁止する理由は(企業・従業員双方にとって)正当なものなのだろうか。最近、目にした記事に「生活するために足りる給料を従業員に払えないような企業は退場すべき」みたいなことが書いてあった。この記事を読んで「なら、副業を奨励すればいいんじゃないか」と思ったことが副業について考えるきっかけになったのだが、本業への支障を過大評価して副業を禁止することはゼロリスク信仰という国民病ともいうべき日本人の典型的な考え方だと思う。

色々考えたことを書いたが、自分で書いて自分で疑問も沸いてくる。
そもそも、副業する時間があるのか。そもそも、副業は儲かるのか。これは人それぞれというしかないが、硬直的な日本の労働市場の改革を考える上では一つ考えてみるべきだ。

12/01/2009

【書評】スパークする思考 右脳発想の独創力



著者が内田和成氏ということなので、買ってみた。日常の発想力(右脳)を仕事でも生かそう、と書くと「日常に仕事を持ち込む」となってワークライフバランスが云々。。。みたいになってしまうが、内田氏は「公私混同して両方楽しむ」ことが独創的なアイデアを生むと言う。

また、デジタルツールなどを使った情報の蓄積・整理には必要以上に手を出さない。全くやらないということもないし、情報を覚えない・整理しないということもないが、「必要以上にやろうとしない」ことが重要なのだ。アナログこそ、独創的なのだ。


このブログを始めて約2ヶ月経ったが、書評は合計27になった。この期間に27冊読み終わったということだ。2~3日に1冊ペースといったところか。ブログで書評をつける前のペースは分からないが、確実にスピードアップしていると思う。
書評を書くために読んでいる訳ではないし、その書評も誰かに読んでもらっている訳でもないし、一応Amazonのアフィリエイトプログラムは利用しているが収益が目的でもない。ただ、読んだ本とそれについて感じたことを記録する意味では時系列のブログはちょうどいいし、ブログの文章にどう落とすかを考えながら(=自分の考えを整理して、誰かに説明できるようにしながら)本を読む癖がつくのがブログ書評の効用だ。